カルゥーに見送られて私はライザール様の待つ中庭へと向かった。

 

 

 

早朝とはいえ辺りはすでに温かな空気に満ちていた。日中は熱く夜は冷え込むのが砂漠だけに狩りが楽しめる時間も限られている。

 

砂漠に隣接しているわが国の国土の中でも緑が生い茂りオアシスを求めて野生動物が集まる狩場に一同で向かう。 

 

私は輿ではなくラクダに乗るライザール様に同伴させていただいた。

 

到着と共に使用人たちが野営地を設置する。

王を守るため武装した兵士の姿も見えた。

 

狩りを前に皆血が騒ぐのか華やかな宮廷とはまた違う雰囲気が漂っていた。

 

腰に愛用の鞭を携えたライザール様はより一層たのもしく見えた。

 

「ああ・・そうだった。シリーン、これを持っていろ」

 

彼が手渡したのは革袋に入った水と干し肉だった。

 

携帯食だろうかと思っていたらライザール様は真顔で言った。

 

「喉が渇いてから飲むのでは遅い。十分水分を取ることだ。なに用を足したくなったらどこでもできるぞ。」

 

 

もう!嫌な方ね。そんなことわざわざおっしゃらなくても。

 

淑女として絶対にそんな状況は遠慮したかった。

 

「だが用心は怠らない方がいい。動物は嗅覚が優れているからな。万が一の時は干し肉を使え」

 

つまり水は喉を潤すためだけれど干し肉は動物の気をそらす目的のものであるらしい。美味しそうだけど我慢しなきゃね。

 

「昼食は獲物次第だが楽しみにしておけ」

 

キャッチ&リリースとはいかないのが狩りだった。

 

だから私も曖昧に頷く。捕った獲物を食べるのが狩りの醍醐味なのだから。