翌朝目覚めたら、すぐ隣でライザール様が私を見ていた。

 

その琥珀色の目はとても静かで吸い込まれそうだった。

 

寝顔を見られたことに気恥ずかしさはあっても昨夜の情熱が嘘のように欲望の欠片もない彼の眼差しは優しくて目がそらせない。

 

「おはよう・・・ございます」

 

前回は起きた時にはもぬけの殻で一人きりだったけれど、ライザール様と同じ寝台で目覚めることができたのはささやかな変化だといえた。

 

「おはよう・・よく眠れたようだな。顔色がいい」

 

観察眼の優れた彼らしい言葉だったが、ようは心配していてくれたのだろう。

 

「ええ・・ぐっすり眠れたみたい」

 

だから素直にそう応える。見るとカルゥーの姿はなかった。侍女は遠慮して控えているし二人きりだと思えば胸が高鳴ってしまう。

 

「あのカルゥーは?」

 

照れ隠しに尋ねたらライザール様は私の顔を覗き込みながら言った。

 

「ああ・・カルゥーなら朝の散歩に行った。なんだ私では物足りないか?」

 

私にとってカルゥーは小姑みたいなものでもあったからどう答えるか迷う。

 

でもここは素直に答えた方がいいのだろう。

 

「そうじゃないの。ただ・・二人きりだなって思ったら新鮮で」

 

彼にとって相棒のカルゥーは私の監視役でもあったはずだからそんな彼が私と二人きりになったのは信頼してくれたようで嬉しかった。