言外に含んだ棘をライザール王は察したのか苦笑をもらす。
「やれやれどうやら「花嫁」の機嫌を損ねてしまったようだ。だが嫉妬深いのは私も同じだ。ヴィンスであろうと誰であろうとお前を奪うのは許せんからな。国交にも差し障るのは嫌だろう?」
花嫁と呼ばれたことで怒る気持ちが失せてしまう。
彼にとってはレイラ様ではなく私が花嫁なのだということがやはり嬉しかった。
私の気配から怒りが消えたことをいち早く察したのかライザール様はまんざらでもない様子で誘惑してくる。
「そんなに大浴場を使いたいならヴィンスが帰国した後に好きなだけ使えばいい。私自ら愉しませてやろう。」
!
含みのある言葉にじわりと熱くなる体を悟られないように平常心を保とうとしたけれど、ライザール様を胡麻化すことはできそうになかった。
欲望を持て余す体をふいに抱き寄せられて唇を奪われる。
鷹揚な王だけど時折のぞく荒々しさがまた女心をくすぐるのだ。
そのまま深く口づけられた私はあっさり陥落してしまった。
だって・・考えてみたらこれがたぶん初めてのベール越しじゃないキスだったんですもの。
遠慮なく唇と歯列を分け入る生き物みたいにうごめき絡みつく舌の熱さは頭がもうろうとしてしまうほどの愉悦を私に与えてくれるものだった。
頽れそうな体を逞しい腕に抱き上げられて軽々と寝室へと運ばれる間、高まる期待を胸に私はされるままだった。