シリーンに片思いのジェミルを出しに「シリーンに嫌われちゃったライザール様×ライザール様を好きだけど意地っ張りなシリーンのこじれ具合を楽しむ」話です
「好きな方を選ぶがいい」
そう言って背を向けたライザール様がどんな顔をしていたのか私にはわからない。
でもたぶんそれが精いっぱいの彼の情けだったのだと思う。
ライザール様を狙ったジェミルの暗殺は未遂に終わり束の間の逃亡劇の末私たちは囚われてしまった。
本来なら処刑されてもしかたないほどの重罪だったけれど、私を庇ったジェミルが依頼人である店主様を売り私たちはひとまず捨て置かれた。
私はというと傷だらけのジェミルを前に火照る体をどう鎮めればよいのか途方にくれていた。
でももう一刻の猶予もないほど熱くなった体を鎮める方法なんて一つしかなくて迷うこともできなかった。
だからライザール様が温情で置いて行ったを手に取り自分で鎮めようと思ったのに、私の意図を察したジェミルに奪い取られてしまった。
「よせよ・・そんなアンタは見たくない。辛いんだろ?そんなもの使うくらいなら俺がっ」
!
初めて見る男の顔で私を睨むジェミルの気迫に思わず息を飲む。
私ってなんてバカなの・・・こんなことになるまでジェミルの気持ちに気づくこともなかったなんて・・・