賢明なライザール様だから店主様の理屈に嘘をかぎ取って懐疑的だったのだと思うけど、たとえ理解が及ばなくても私の願いを尊重してくれたから血をくれると言ったのだと思う。

 

もちろん男としての下心も十分にあったでしょうけどね。

 

だけど実際に抱かれてしまった私自身の気持ちに生じてしまった変化が今や私を悩ませることになった。

 

ライザール様の厚意に甘えて血を貰えばすむしジェミルも助かるのなら構わないじゃないと囁く声に必死に抗う。

 

ジェミルのためだといいながらジェミルを裏切ってまでライザール様に抱かれて彼に心を奪われてしまい、結果的にジェミルを何度も裏切っているのに今更でしょう?

 

ああ・・そうなんだけど・・・でもやっぱり嫌なの!!

 

理屈じゃなくて気持ちでもうライザール様を裏切りたくなかった。

 

「だから貴方が決めてよ・・私がどうすればいいのか・・・」

 

すがりつく私の姿にライザール様は瞠目されたけれど、突き放すことはなかった。

 

「お前の気持ちはわかったが、ジェミルを助けたいのだろう?」

 

 

私の気持ちを確かめるように問いかけるライザール様に頷く。