ジェミルのことを裏切ってしまった私だけど助けたいのは本当だった。

 

彼を失うのはやっぱり怖い。

 

「なら迷うことはない。私の血を店主に送ればいい・・奴が約束を守るとはかぎらんがな。お前のためならば血など惜しくない」

 

 

ジェミルのためだってわかってて懐の深さを示すライザール様の男気に心が熱くなってしまう。

 

迷った末彼の指先からほんの少し血をわけてもらい、店主様に指示された通りに送る手配を済ませた。

 

用心深い店主様はもちろん行方をくらませていたけど、あと私にできることはジェミルの無事を祈ることしかできなかった。

 

私とライザール様の関係にも変化が訪れた。

 

「お前に非道なことをしたことは悪かったと思う。改めて謝罪させて欲しい。私自身後悔している・・本当にすまなかった。二度とあんな真似はしないと誓う」

 

彼が謝罪してライザール様とはあらためて和解することができたが、あれ以降彼とは距離を保っていた。

 

ジェミルの安否がわかるまでは前に進めない、そんな気持ちがあったからだと思う。

 

自分でも不思議だと思うけれど、この場所に来たのは仕事として依頼を受けたからだったしライザール様がターゲットとなったのもたまたまだった。

 

忘れていたとはいえまさか彼がずっと大切に想っていたルトだったなんて、運命を感じてしまう。

 

ジェミルのことだって前からの知り合いだったし、彼と特別な関係になるなんて考えたことすらなかった。

 

けれどそれぞれの思惑を抱いたままこの場所で私達は出会い、

運命が大きく変わってしまった。