「・・・どうだかな」
あえて答えをずらす私をライザール様が睨みつける。おお怖い。彼の場合冗談ごとではすまなかったが、恭順さを示してみせるより私らしくありたかった。
主導権は簡単には渡さないわよ。
「なによ、密偵としての私が欲しいのは貴方の血だけど「女」としての私が欲するのは貴方との束の間の逢瀬よ?それじゃ不満だというの?」
かつて私はライザール王の婚約者に成りすましたことがあった。
その婚約者は別の男と駆け落ちしてしまったからライザール王にとっては本当にふんだりけったりだったはず。
彼は私を疑いなんどもさぐりを入れてきたが、その駆け引きに飽きた私は思い切った策にでた。
結果的にはライザール王を篭絡できたのだから成功だったし持ちつ持たれつの関係になれたかと思ったのだけれど考え違いだったらしい。
たぶん私とライザール様の関係が問題だった。
血を採取できなくてもライザール様に抱かれるのは嫌じゃないし、それは私が彼に好意を抱いてるからだけどライザール様から見たら血で私の歓心をかっているように感じているのかもしれない。
でもいくら言葉を重ねようと私のことが信頼できないのは密偵だからだけではなくライザール様自身の問題だった。