「・・・・んっ・・・はあ・・・」

 

彼の手は悔しいまでに巧みだった。

的確に私の快感を引き出していくにつれこみ上げる欲望と官能に流されてしまいたくなる。

 

それは私にとってたとえようもないほどの恥辱だった。

 

けれど私はただの花ではなかった。

 

男を篭絡する術に長けた毒花なのだから。

 

それなのに・・・・!

 

彼の巧みな技に翻弄されているのに感じるのは屈辱だけではなかった。

 

まだ指だけなのに、私の反応を見ながら余裕の態度を崩さない彼の与える快楽に溺れてしまう。

 

その冷酷な眼差しさえかえって私の被虐心を煽るものだった。

 

「・・・・・・・・っ・・・あああ・・・・っ」

 

洩れる声を飲み込むことが気に食わないのか、容赦なくかき回す蜜に濡れた指先で翻弄されて悲鳴を漏らすとライザール王がうっすらと笑みを浮かべた。

 

まさに女の扱いを心得た男ならではの絶妙な加減だった。

 

こんな男がいるなんて・・・・

 

これが仕事であることが残念でならなかった。

 

血を得るために男達を誘惑していた私だったが、プライベートの方はすっかりご無沙汰だった。

 

普段押し殺していた欲望に灯がともる。

 

それは熾火のように消えることなくくすぶり続けた

 

忘れ去られた欲望だった。