触れさせまいと拒まれたらより欲しくなってしまう。
頑ななのはその実スキンシップに弱いからではないのかと勘繰りたくもなる。
見てなさい・・・ライザール王・・私を焦らせたこと後悔させてあげるわ
思惑を隠し翻弄されたふりで機会を窺っているとついにその機会は唐突に訪れることとなった。
背後から忍び寄った仲間のジェミルがライザール王の首に暗器を巻き付ける。
肉に食い込んだそれは安易には解けないが身を危険に晒すほどではなくあくまでも抵抗を奪うものだった。
さすがに想定外だったのかライザール王の顔にも初めて動揺が走った。
一方の私はというと、眼前で行われる凶行にも動揺することはない。
さあ・・・今度は私が仕掛ける番よライザール、覚悟なさい
縄抜けした私はジェミルとの攻防を続けるライザールの鞭を奪い取り自由を奪い拘束することに成功した。
「助かったわ・・あとは任せて」
立場が逆転して圧倒的な有利な立場になった私は協力者のジェミルに礼を言う。
クールな一瞥で無言で頷いたジェミルが退出した後ライザール王に向き合った。
燃えるような目で私を睨みつけるライザール王の唇を奪う。
拒むかと思ったのに、彼は拒まなかった。
なによ私を篭絡するつもり?
けれどその目は無言で私に対する疑心と非難に満ち溢れていて私の出方を冷静に見極めようとしていた。