「いい男が鎖に繋がれてるなんて良い光景だわ」
そもそも彼が私にした仕打ちだった。それをやり返したからといって心は痛まない。
「私も貴方と同じでされるよりする方が好きみたい」
ライザールの鞭を手に取り彼へと向ける。
「これでもくらいなさい」
一度だけ背を軽く鞭うつとライザールが唇を噛みしめた。
「・・・・っ・・・・・」
ああ・・やだそんな顔しないでよ
苦悩を浮かべた彼の顔は嗜虐心を煽りゾクリと肌が粟立つ。
とはいえ別に痛めつける気はもとよりなかったので、あくまでも鞭を常に振るう側の男に対する一種のお仕置きを兼ねていた。
「どう?愛用の武器の味は?」
彼こそこれまで幾多の相手に対し容赦なく振るってきたはずだった。
少しはされる側の気持ちを考えればいい。
「ふふ・・ごめんなさい。痛かった?」
詫びも兼ねて打った背を癒すように唇を押し当てると彼が微かにうめいた。
「私をどうするつもりだ」
それは難しい問いだった。