目的はすでに達成されている以上、一刻も早く撤収すべきなのはわかっていた。
採血はしたがそれ以上の危害を加える気もなかった。鞭で打ったのだって本気じゃない。
「別にどうもしないわよ。貴方こそ私をどうする気だったのかしら?物騒なのはお互い様でしょ?」
彼は特権階級の王だからこんな小娘にいいようにされるのが納得いかないのかもしれないけれど、女に鞭うたれて喜ぶ輩だっているくらいだ。
「ねえ、これでも私は貴方のこと気に入っているのよ?それに相性だって悪くないでしょう?」
これほど身体の相性が良い男は滅多にいないだろう。快楽に溺れそうになったくらいだ。
圧倒的な優位で彼と欲望のひと時を過ごしたけれど、実はまだ物足りなかった。
心の交流はもとよりなかったはずなのに初めて彼を見た瞬間からライザール王に惹かれるものは感じていた。
だからなのか、無関心なくせに肉体だけ翻弄しようとする彼への苛立ちが募ったのかもしれない。
どうやったら貴方は私を見てくださるのかしら?
彼のようなプライドの高い男をひれ伏させて私なしではいられないようにしたくてたまらなかった。
貴方を騙して近づき、血を奪ったからきっと怒ってるでしょうね
私に復讐したくてたまらないはず・・
理性ではそうは思うのに彼を欲する心を止めることはできなかった私は最悪の決断をしようとしていた。