一方、ジェミルの手から店主様へと渡ったライザール王の血は十分役立ったようだ。
「シリーン、悪いけどまた頼めるかな?」
満面の笑みを浮かべた店主様から引き続き依頼を得た私はそれからも足しげく王宮へ通うことになった。
ライザール王はというと結局結婚はとりやめてしまわれた。
気ままな独身を謳歌する王の女は今のところ私だけだけどこれからもそうであってほしいわね。
他の女では貴方を満足させられないでしょう?
「ライザール様・・・私に会いたかった?」
回廊で待ち伏せて、姿を現せたライザール王を誘惑してその場で彼に抱かれた。
柱に手をついたまま背後から彼を受け入れるとよほど渇いていたのか、むしゃぶりついてくる。
「随分ご無沙汰だったじゃないか・・・私を待たせるとはいい度胸だな」
恫喝するように言うけど会えなくて寂しかったってことね。
気づいたら彼は私に夢中になっていた。
だからより一層愛しさが募る。
「あら、それは悪かったわ・・・あっ・・・久々なんだしちょっとは加減してよ」
私は別に仕事にかこつけて男を漁ってるわけじゃないから、随分ご無沙汰なのはこちらも同じだった。
貪欲に腰を押し付けてくる彼の余裕のない様子に私の気持ちも昂る。
身体だけじゃなくて心でも貴方を感じるなんて最初は思わなかったのに
きっかけは店主様を助けるためだったけれど気づいたら私はライザール様に惹かれていた。
誰よりも多く貴方と夜を過ごして貴方だけの女でいてあげるから
これからも私を離さないで・・・
密偵だって女ですもの、約束よライザール様