「ああ・・そうだ。返事は?」
!
今まで黙ってたなんて!もう!
憧れの人に初めてを捧げてずっと一緒だったのに気づかなかったなんて
彼が夜な夜な出かけていたのもその活動のためだった。
救いを待つ国民のために昼夜問わず身を粉にしていたなんて。
私の憧れを知りながら内緒にしていた彼がやっと心を決めて、本当の姿で迎えに来てくれてプロポーズまでされたのになんだか悔しくて
すねたふりした私が彼の腕をふりほどき背を向け数歩進んだ時のことだった。
バシッ
ライザール様がしならせた鞭が私の腰に巻き付き彼の方へと引き寄せられる。
「きゃっ」
「逃がさんと言っただろう。シリーン。お前は俺の女だ」
トクン
――ああ、そんなの反則だわ
抱きすくめられ間近で覗き込むライザール様の目を覗き込んだ時冷静だった心が熱に溶けて消え散った。
私の体だけじゃなくて心まで奪うなんて・・
ゆっくりと彼の顔が近づいてきて、受け入れる直前私は尋ねた。
「貴方の名前を・・・教えて」
ふっと笑った彼は教えてくれた。
「俺の名前は・・・ルトだ」
―ルト!それが貴方の名前なのね・・
「ルト・・・私も貴方を愛しているわ」
私が愛した方は王と義賊の二つの仮面を被っていた。
そして私は彼の共犯者になるのだ、これからもずっと・・・