「貴方はジェミルをどうされるのですか?」

 

やや踏み込んだ質問をぶつける。ジェミルが王宮に来たのは復讐のためだったけれど私の願いを聞き入れ思いとどまってくれていたが、いずれにせよ彼は決着がつけばここを去るだろう。

 

レイラさまの言葉が脳裏をよぎる

 

『貴族にとって血統と財産を守ることと愛情はいつも悩みの種ね』

 

そしてライザ様が言った言葉・・・

 

『貴女は『王』と結婚したいのか・・・いや『彼』と結婚したいのかな・・悩ましいね』

 

あれはこういう意味だったのね。

それは遠回しに私の覚悟を問う言葉だった。

 

「王位をあっさり譲渡した私が言うのは心苦しいが、やはりジェミルには王位を継いでほしいと思っていますよ。・・・もちろん今すぐというわけではありません。」

 

やはりそうなのね・・・

 

「ライザール様はご存じなのでしょうか?・・それにジェミルの気持ちだってありますよね?」

 

王位継承権は厳格な取り決めがあるだろうし、私が口を出せるようなものではなかったけれど、ルールを破ったのはライザ様だった。

 

勝手に決めてしまっていいことではやはりない気がする。

 

「もちろんです。私はジェミルのことはライザール様には言えませんでした。生きているかどうかもわからない息子のことで彼を煩わせたくなかったからです。

 

でももちろん愛した女性サーラの生んでくれた子ですから密かに探してはいました。だからもし生きていたらジェミルに後を継いでほしい。これは私の願いだけではなく先祖から脈々と引き継いできた血統を絶やさないためでもあるのです。

 

ですが貴女もご存じの通り私よりライザール様の方が王に向いてるでしょう?血筋ではなく彼の能力でここまで国を繁栄させたのは確かです。

 

だからできれば今しばらくはライザール様にこのまま王位を守って欲しい。そしてジェミルに後を継いで欲しい、それが私の望みです。

 

本当はねお嬢さん・・貴女にその腕輪を贈った息子の願いを叶えてやりたかった」

 

 

そうかライザ様は腕輪の意味をわかってらっしゃったのよね。