また一緒に寝るようになったせいか彼の夜間の外出はめっきり減ったけれど、本当に何をしていたのかしら?
浮気じゃないという彼の言葉は信じるけれど、では夜の街で一体何を?
嫌われるのが怖くて詮索はしないでおこうって思っていたけれどやっぱり気になるわよね?
ジェミルのことも放ってはおけないし・・
実はもう一つ気になっていることがあった。
それはジェミルがくれた腕輪のこと。
ライザール様に見せた時の反応だけど、彼は高価なものだって言ったけれど腕輪については特に感慨もなさそうだった。
子供の話を出した時も後ろめたい様子もなくて、むしろ私が彼の子を産むことに前向きな様子だっただけ。
でも一人だけこの腕輪について妙に食いつきがよかった方がいた。
脳裏にその方を思い浮かべながら私は宮殿を彷徨いその姿を探し歩く。
過去の遺物であり忘れ去られた閉鎖中の旧ハーレムまで来た時だった。
―いたわ!
「こんにちは・・」
こちらから声をかけると水煙草商人は驚いたように私を見た。
「ああ・・貴女でしたか。こんにちは。今日はお一人ですか?」
周囲に人影はないしちょうどよかった。
「ええ・・・今日はこの腕輪についてお伺いしたいと思い参りました」
腕輪を見せながら反応を窺うと彼が息をのむ気配があった。
「この腕輪は私が幼馴染のジェミルからもらったものです。でも元は貴方のものだったのではありませんか?・・・そして貴方こそこの国の王ではないのですか?」
それが情報を精査したうえでの結論だった。
彼が王ならばライザール様は偽物ということになってしまうけれど、つまりジェミルの父は正真正銘本物の王ということでもある。