私にとって大切な二人が傷つけあうのは見たくないからなんとしても防がないといけなかったけど・・・

 

でもジェミルの言葉だけで判断することはやはりできなかった。

 

「・・・っ・・・シリーンどうした?今夜はやけに激しいな。放っておいて悪かったが私だって我慢していたんだぞ?」

 

!

 

「本当・・・ですか?ならまだ貴方は私のものなのね」

 

本当かどうかは確かめる術はないし浮気をしてたって認めない男はいるだろうけど、私はやっぱり彼を信じたかった。

 

「ああ・・・私を独占できるのはお前だけだ。だから大切にしろ」

 

そう言って私を満たしてくれるライザールさまに愛しさが募る。

 

――ああっ・・・私やっぱり貴方が大好きだわ

 

だから望んでもいいですか・・?

 

「貴方の子を産みたい・・ね、いいでしょう?ライザール様」

 

それは閨の睦言にかこつけた私の本音だった。

できるかどうかなんてわからないけど例え彼と一緒になれなくても愛されたよすがが欲しくてたまらなかった。

 

「くっ・・・シリーン・・・お前が私の子を産んでくれるというのか?」

 

私の懇願がよほど意外だったのかライザール様は顔を切なげにしかめたまま私を抱きしめる。

 

快感の波が押し寄せて共に果てを迎えた私たちは互いの温もりを確かめ合うように抱擁をかわす。

 

「だって家族がいるってとても素敵でしょう?」

 

私にとって店主様とジェミルがまさにそんな存在だった。腹が立っても離れていても互いを想いあい許しあえてしまう関係だわ。

 

ライザール様は私の大切な方だけれど恋人だし離別だってありえたから、もっと強い絆が欲しくなってしまった。

 

「・・・家族か。そうなれたら幸せだろうな」

 

 

切望する眼差しで見つめるライザール様を見返した私は彼の情熱がまだ潰えていないことを思い知る。

 

やはり私はライザール様を諦めることなんてできない。今はまだ方法がわからないけれど、彼とともに歩める未来があるなら必ずこの手に掴んでみせる。

 

それにしてもまだライザール様は私を離す気配はない・・

 

そんな風に思っていたらいきなり彼が私を抱えたままソファから立ち上がった。

 

!!?

 

「ああ・・・ひっ」

 

逞しい腕で私の足を抱え上げたまま彼は寝台の方へと移動する。

その振動さえご無沙汰だった私には刺激が強すぎた。

 

――私は荷物じゃないのよ・・・っ

 

「こら暴れるな・・落ちるぞ」

 

ひっしでしがみ付く私と落とすまいと抱えなおすライザール様の間にふいに生じた面はゆさが二人の間にあった緊張をなくす。

 

寝台に場所替えした私たちはさらに離れていた喪失を埋めるように互いを求めあった。

 

ちょっと疲れてしまったけれど楽しかったわ。