ああ・・なんてことなのかしら

 

ジェミルが暗殺者でそしてライザール様の隠し子だなんて・・・

 

 

レイラさまと愛のない結婚を決めたのももしかしたらそのせいなの?

 

いくら考えたところでライザール様の気持ちがすべてわかるはずもない。

 

なによりもあのライザール様が愛した女性の命を奪うなんて私は信じないわ

 

彼は決してそんな方ではなかった

 

ジェミルから得た情報は私を動揺させるものだったけれど、だからといってライザール様の暗殺はなんとしても思いとどまってもらわなければ・・

 

ジェミルだって確信があるわけじゃないのだと思う。

彼の得た情報は思惑のある第三者から聞いたもので自分で見聞したものではなかったのだから。

 

だからこそ確かめるために偶然を装って私たちのデートに同行を申し出た彼はずっとライザール様を量っていた。

 

わずかな時間でも一緒に過ごしてみてライザール様の男気はジェミルにも伝わったからこそ迷いが生じてしまったのではないだろうか。

 

何度もチャンスはあったのに凶行に及ばなかったのは私の存在もあったからだと思う。

 

そう思えば本当に絶妙な均衡で切り抜けたのだと実感してしまった。

 

不安が押し寄せる中私はレイラさまの元へ伺い、誰も来なかったと嘘の報告をするしかなかった。

 

もしかしたらレイラさまはなにか気づかれたかもしれないけれど何もおっしゃらなかった。

 

私たちの問題にこの方を巻き込むべきではないから追及されなくてホッとする。