ライザール様の秘密ってなに?

 

「もしかして気になってるの?シリーン。ま、無理もないか~私だってハサンの秘密教えますなんて言われたら気にならないと言ったら嘘になるもの」

 

「でも・・・たぶん罠ですよね?」

 

この手の手紙が要注意なのは誰の目にも明らかだった。

呼び出してそのまま暗殺したり誘拐される可能性だってある。

 

「手紙の主に心当たりとかあります?」

 

少なくとも向こうはレイラさまを認識しているのだから可能性はあった。

 

「ないわね~だって私王宮に来てからずっと偽名だったし、むしろ貴女の方こそないの?」

 

言われてみればその通りだった。

 

ライザール様をはじめ皆の知るレイラは私なのだから。ライザール様を問い詰めるわけにもいかないし、彼とはまだ気まずかった。

 

護衛も兼ねているから夜はまだご一緒していたけれど、同じ寝台では寝ておらず私はソファの方で休ませていただいていた。

 

お戻りになるのが遅いから起きて待たなくていいと言われて先に休む私がライザールさまをおみかけすることもなく生活のずれが生じていた。

 

毎晩遅くまでどこで過ごしていらっしゃるのかしら?

気になっても詮索することもはばかられてわからずじまい。

 

でも逆に言えばだからこそ私が抜け出してもライザール様にバレないということだった。

 

「あの、私がレイラさまになりすまして呼び出しに応じてもいいでしょうか?」

 

限りなく罠だろうけれど行ってみなければわかりようがなかった。

 

するとレイラさまは逡巡のあと、「貴女にまわせるわ」とおっしゃった。

 

レイラさまは安全のために侍女たちと一緒に待機していてもらい、私がレイラさまのふりで深夜に中庭へと向かうことになった。