「・・お前さえよければまた二人きりで出かけよう」

 

 

宮殿に戻った直後のことだった。

立ち去ろうとしたライザール様がふと足を止めてそう声をかけてくださった。

 

私と出かけたいと思っていただけるなんて・・・嬉しかった

 

「ええ、私でよければいつでもお供させていただきますわ」

 

笑顔でそう応える私の頬にライザール様がそっと触れる。

 

ああ・・やはり彼の掌の感触は心地いい

 

「そうだ、今夜本を借りに来てもいいぞ」

 

 

「嬉しいです、ぜひ伺いますね」

 

口約束だったけれどちゃんと覚えてていただけたなんて。

 

「ああ、待っている。それでは・・・また」

 

上機嫌で去っていくライザール様を見送った私の元に侍女頭がやってきた。