そんなことをつらつらと考えていたら見知らぬ侍女が食事を差し入れてくれた。

 

 

彼女は決して私を直視しようとはしなかったけれどどこかこちらの様子を窺っている気配があった。

 

・・まさか?

 

給仕を終えた侍女は逃げるように立ち去った。おそらく囚人と関りを持ちたくないからだろう。でもふと感じた予感を拭えない。

それはいわば密偵の勘だった。

 

もしかするとレイラ様の侍女だったのでは?恐らく王が首実検をするために寄越したのかもしれない。

 

そうだとしたら身分詐称は露見したも同然だった。

とはいえ私の正体が露見すれば、逃亡をはかったレイラ様の立場だって悪くなるのに・・私を雇ったのはレイラ様なのだから。

そこまであの侍女の気が回るとも思えないわね。

 

本当に前途多難だった。

 

食欲はなかったけど、用意されたのは思ったよりも豪華なものだった。最期の食事というわけね・・

 

毒見役はいないし覚悟を決めねばならないようだ。

とはいえ本当に食欲がなかったからとりあえずデザートからいただくことにした。

 

果物のシロップ漬けのようだ。仄かに酒の風味が効いていて美味だった。

 

口当たりはまさに至福で蕩けるような甘露だったが、食べ進めると身の内に妙に火照りを感じた。

 

思った以上にアルコール度数が高い食べ物だったようだ。

あまり酒には強くないからそのまま床に腰を下ろして休息をとらねばならなくなった。

 

後にそれが燐帝国産の金梅の実の梅酒シロップ煮だと知ったのだけど、ライザール様の要望に皇驪様が応じられて供されたものらしかった。

 

ひどい方達だわ。王族を敵にまわすと恐ろしいというのは本当ね。