ジェミルが迎えに来る頃には私はすっかり動けなくなっていた。

だけどかえって断る口実ができてしまった。

 

足手まといの私を連れて逃げるのは限りなく無謀だったし、私自身ジェミルと逃げる気はなかったから一人で逃げるように説得したし、店主様の元にも戻らないように言い含めた。

 

もうあの方に利用されるのはごめんだった。

 

「貴方は自由なのよジェミル。だからもう私のことも忘れて・・私はここに残ってライザール様と運命を共にするわ。あの方を愛しているの」

 

そう言ったらジェミルは絶句したけど、衛兵の近づく気配を察して無念さを振り切って逃亡した。

 

きっともう二度と会えないけど・・どうか生き延びて・・

さようならジェミル・・

 

ライザール様は各地に網をはっておられたけど身軽な分ジェミルはなんとか逃亡できたようだった。

 

それにあの子は凄腕のアサシンだからきっと誰にも止められないわね。