白銀の髪の乙女、シリーン・・あの娘は今頃どうしているのだろうか?

 

いつも思い出すのは曇りのない青空のような彼女の笑顔だった。

あの頃は私もよく笑っていたように思う。

 

互いがいるだけで幸せだったのだ。

 

私は彼女を愛していたし、彼女も私を慕ってくれていた。

あのまま共にいたら私は王宮に乗り込むこともなくいずれは市井で彼女を妻に迎えて仲睦まじく暮らしていただろう。

 

だが彼女は失踪してしまい、私は彼女を取り戻すことがかなわなかった。

 

そして今の私がある。

 

だが王になってもままならないことばかりだ。

正直私はうんざりしていたし、半ば自棄になったあげく有力な大貴族と婚約を交わすことにしたのだ。

 

お飾りの妻になどはなから興味もなかったから一度も顔合わせにもいかなかったが、いよいよ顔合わせの場に出向くことになった。

 

折しも各国の王子を招いての会議と時期を合わせ大々的に国内外にアピールする場を設けたのだ。

 

現れた女は絶世の美女だった。そんなバカな。あの男の娘がこんな上玉なわけがない。明らかにうさんくさかった。

 

だが偽りの笑顔で篭絡されるほどめでたくはない。

そう思いながらも、時折見せる彼女の笑顔に引き付けられてしまうことが増えた。

 

私に心は触れさせまいとしながら際どい誘惑を繰り返すのは何故なのか?

 

この女が偽物であるならばこの婚姻自体成立しないが、いつしか私は彼女の目的を暴く手段を講じるようになっていた。

 

それだけ魅惑的な女だったのだ。

 

「あいつ」を片時も忘れなかったとはいえ、私だって男だからな。

魔が差すこともあるさ。