愛し合った後ベッドで寝そべりながらこうしてライザール様の胸に顔を寄せて鼓動を聞きながらおしゃべりをする時間がとても好き。
「迎えにきてくださって嬉しかった・・・信じていたけれどだからといって不安がなかったわけじゃないんですよ?」
それがまぎれもない本音だった。全ての選択を彼に託した私だけれど彼を過去の男として語ることはやはりできそうになかったから。
人は妥協できるし一番でなくても順応して幸せを得ることはできる生き物だと思う。でも私には無理だった。もし彼に失恋したらもう恋なんてしないと思うわ。
仕事相手とは寝ないし仕事に私情を持ち込みたくもない。
行く先々で一夜の恋なんてしたくないし遊び感覚で男とも寝ないもの。
だからライザール様は私が選んだ唯一人の方だった。
遅くなったことを彼は詫びたけれど、もともと1年と期限を設けたのは私だからむしろ私の方が謝らなければ・・・
私達にとっての1年と人であるライザール様の1年は感覚が違いますものね。
恋をした私がいなくなり、プライドも傷ついたでしょうし疑心暗鬼にもなったでしょうけど、それでも私を迎えにきてくださったのね。
他の方を選ぶこともできたのに(実際そういうお話もあったようだけど)彼は独身を貫いてくれた。
そして私を唯一人の妻に迎えたいと言ってくださったわ・・
離れていても私を信頼してくださり、仕事への理解もあり、浮気もしない、こんな殿方滅多に出会えないわね。だから私も貴方に誓うわ。
「ライザール様!愛していますわ、では参りましょうか」
そうと決まればこんな場所に長居は無用だった。
ロラン様との契約は果たされたし、抜かれていた血も私の呼応に応じるように全てこの身に戻り久しぶりに身の内に力がみなぎるのを感じた。
今の私なら張られた結界も全て破壊することができる。
知力が高くて剛毅なオーラをまとったライザール様もそれは同様だった。
ナイトブリードになったばかりの彼を導くのも私の務めだから彼の手をとる。
手を繋いだまま秘めた力を解放する感覚を共有すれば彼はすぐにコツを呑み込んだ。
クライデルの城の結界は私が、ルーガンの城の結界はライザール様が破壊した。
ナイトブリードになったことで人の身では気づかなかった様々な発見がある。
降り注ぐ月光の癒しや風の色、愛をうたうカナリアの声、夜目が利き、遥か遠く天空の星まで認識できるし、耳を澄ませば満ち溢れた命のたてる音まで理解できる。治癒能力も高まるし動物と言葉も交わせるだろう。
ライザール様はかつて彼が可愛がっていた黒豹が化身になったかのような俊敏さとハンティングの才能がありそうね。
頭も良くて探究心も向上心も十分にある方だから一族への貢献は立派にできるでしょう。今から楽しみだわ。