ともかく止まった時間も動き出そうとしていたし、ロラン様の動向も私は気にかけていた。

 

「シリーン・・もう1年経つんですね・・・楽しかったなあ・・貴女には感謝しています。でも変ですね・・・最近貴女と一緒に出かけた時のことばかり思い出すんです。

 

いつの間にかパメラのことも思い出さなくなってたし・・苦しくなくなってた。

 

もっと貴女とおしゃべりしたりすればよかった。気持ち良いことした女の人の顏はもう思い出せないのに・・貴女の笑顔を思い出して・・・胸が・・苦しいんです・・・」

 

いつも以上に饒舌なロラン様もまた離別の予感を感じているのだろうか。

 

「今日ね、ライザール王が迎えにきたんですよ?嬉しいでしょう?・・貴女は約束を守ってくれたから今度は僕の番ですね・・・本当はね貴女を返したくない」

 

 

やはりロラン様は揺れているようだった。大切なものを渡したくないという気持ちは私にもわかる。

 

けれど彼が土壇場でどう想おうと約束は約束だったし、ライザール様を手に入れられる最初で最後のチャンスだったから私にとってもまさに運命の時だった。

 

たとえ結界をはりめぐらそうと私を止めることはできないし、身動きを封じられていたとしても精気を吸い取ることはできる。

 

華麗に幻惑の舞を舞い命を摘み取ることだって・・

 

ロラン様と違い私は真の魔性だった。

 

私も貴方を傷つけたくない・・だからどうかお願い・・私を解放してください・・ロラン様っ!!

 

仕事を優先してしまいお預けになった1年はますます私を貪欲にさせただけだった。

 

――ライザール様、お願いだから私を拒まないで・・・

 

愛する者を人ではない者へと変えてしまう魔性の性がたまらなく嫌だったけれど、今更身を引くことなどできそうになかった。