次に意識を取り戻した時、私は馬車に揺られていた。ロラン様と向かい合って座した私は自分がどういう状況かわかったけれど冷静だった。

 

「あ、気づかれたんですね・・・良かった。貴女とはもう少しお話したかったから」

 

瀉血されていて気分は最悪だったけれど私は黙ってロラン様の罪の告白を聞いた。

 

おおむね私の推察通りだった。これ以上ないというほど手遅れな状況だったが、ロラン様も私も状況を理解して落ち着いていた。

 

「なぜ・・・私にパメラ様を探すように依頼したのですか?」

 

答えはわかっていたがあえて聞く・・こうやって彼と会話することはもう間もなくできなくなってしまうから。

 

「テオドール様から貴女の話を聞いた時は興味なかったんです・・・僕はクライデルが滅びたことに特別感慨はなかったし・・ただパメラを探すあの人の追及は避けたかったし・・・時間稼ぎですよ・・

 

でも貴女に会ってみて「運命」を感じたんです。ああ・・・この方ならきっと僕をわかってくださるだろうって・・・想った通りでした」

 

まずは見た目が気に入り、それから一緒に過ごしてみて私自身を気に入ったのだと彼は告白してくれた。

 

「・・それにしても罪を告白したのは貴女が初めてだけど・・・少しだけ気持ちが軽くなりました・・僕を責めないのも貴女が初めてです」

 

この時の体験がのちのロラン様の生き方に影響をしたのだと思う。

 

私はというと臨死体験にも似た体感をしていた。

極限まで血を抜けば私であっても休眠状態になるだろう。

だから意識が無くなる前に伝えなければならなかった。

 

「ロラン様、聞いてください。私なら貴方の願いを叶えてさしあげることができます。貴方もご存じのとおり私は「特別」だから。

 

でもどうか罪を重ねるのはもうやめてください。パメラさまだってきっとそんなことは望まないでしょう」

 

私の言葉にロラン様は悲しそうに微笑んだ。

 

「パメラは貴女が想うほど優しくはなかったんですよ。子供の頃初めてパメラがいなくなった後、寂しがる僕をたくさん可愛がってくれてた女の人達全員を戻ってきたパメラが処刑してしまいましたし、

 

女の人を誘惑したからって僕のことも許してくれなかった。お前は病気だからって二度と僕が女の人を喜ばせることができないようにしたんです」

 

 

確かに私は生前のパメラ様のことを写真でしか知らなかったが、クライデルの女王だけあって可憐な見た目を裏切るなかなか壮絶な方だったようだ。

 

女性たちとのことは年齢差を考えてもロラン様の方が被害者だったが、彼が持つ天性の魔性が女達のモラルを乱したことを否定はできなかった。