テオドール様と別れた私は様子が気がかりだったロラン様の姿を探す。
亡国の王子とはいえ身分はとうにはく奪されてしまったロラン様の現在の身分はただの給仕・・つまり庶民と大差なかった。
しばらくは使用人たちの大部屋で寝起きしていたらしいが、あの見た目なので彼を巡り争いが起きてしまったらしいと、同じく使用人として潜入中のジェミルから報告があった。
影があるが花のような美少年の彼は清純そうな見た目に反してかなりの色事師だった。
幼少時の虐待を経て女性を喜ばせる術を学んでしまった彼はとてもアンバランスな心の持ち主だった。当人は至って無邪気なだけに痛々しくもあった。
無心に姉を慕う愛に飢えた幼き子であると同時に欲望を謳歌することに躊躇がない無節操な奔放さを持ち合わせている方だった。
ふとパメラ様は本当に失踪したのだろうか?と思う。
それはあくまでもロラン様の主観だった。
仮にパメラ様がヴィンス殿下を慕っていたのならロラン様の執着をうとましく思う可能性があった。
女としてわからなくはなかった。私だってもし好きな方ができたらジェミルに邪魔されたくないもの。いくら可愛い弟みたいな存在ではあってもね。私から見たジェミルはまだ成長過程の少年だった。色恋の対象にはならない。
自分の手で相手を育てたいか、完成された大人の男を好むかの違いかしら。
それはともかくロラン様はクライアントだから依頼は達成したかったが、それがパメラ様の利害と一致するとは限らないのが問題だわ。