関係者がシャナーサにいる間に真相を究明する必要があった。

 

ヴィンス殿下の心証はクリアだったとはいえ、パメラ様のことを改めて確認したほうがよいかもしれない

 

そこで私はクライアントの一人であるテオドール様を訪ねた。

彼は私室で酒を手に寛いでいた。傍らには酔いつぶれたヴィンス殿下の姿があった。どうやら飲み比べをしていたらしい。

 

殿方ってどうして競うのがお好きなのかしら?一見冷静なご様子のヴィンス殿下だったけれど負けず嫌いな気性の持ち主のようだった。

 

それは彼の弱点かもしれない。テオドール様はさすがに殿下のご気性をよくご存じのようだった。それだけ殿下もまたテオドール様に心を許されているということ。

 

私の姿を見た途端、テオドール様は合図を送ってくる。

彼は私をヴィンス殿下にあてがい情報を聞き出すべく手を貸そうというのだ。

 

テオドール様はヴィンス殿下の乳兄弟とも呼べるほど近しい方だった。

 

なのに亡国の元王子のロラン様と共にヴィンス殿下を疑うのはなぜなのか違和感を覚えた。

 

それは裏切り行為なのではないだろうか?

 

もちろん親友とよべど他人であるし、正義を成すために身内すら見逃さない者もいるだろうが、彼はそこまで清廉な人物には見えなかったし、彼の笑顔にはどこかひくつさと打算的な匂いが漂っていた。

 

つまりヴィンス殿下を貶めることで彼はなんらかの利益を得るとも考えられる。

 

男同士の友情が壊れる理由など安易に想像はつくというものだ。

どちらかに目立った落ち度がない場合たいていは出世争いか色恋沙汰だろう。

 

――パメラ様とか・・ね

 

そう思えばパメラ様の弟のロラン様との関係もしっくりくるのだ。

 

男が男に嫉妬を覚えるのはどのような時かと考えた時、私の脳裏に三角関係が浮かんだ。私はそんな経験はないけれど。あら、でもロラン様もいれればもっと複雑かしらね。

 

二人の男に求愛される女はどちらを選ぶのかしら?

 

ヴィンス殿下の心をさぐればもう少し正確な情報を掴めるかもしれないけれど、テオドール様の様子から見てもパメラ様の本命はおそらくヴィンス殿下でしょう。

 

つまりテオドール様は友情より恋を選ぶ方という想像が成り立つわ。