ホワイトデー企画ですラブラブ

 

一方会話を打ち切りその場から逃げ出したシリーンはというと

 

中庭が見える回廊でやっと立ち止まった。

 

いくら妖艶に振る舞おうとそれは所詮演技でしかなかった。

経験豊富な希驪様やライザール様には簡単に見抜かれてしまう。

 

もちろんクライアントやターゲットとは元より深い仲になるつもりはなかったからこれまではあまり気にしてこなかっただけだ。

 

あくまでもクライアントのイメージを損なうことなく夢を与えるのが仕事だったが、限界はあった。

 

私だってもう21ですものね。

 

未経験だと知って引き気味だった希驪様の態度を思い出して思わず落ち込んでしまう。

 

今回のようにキャラを演じるだけではなく情報収集でハニートラップを仕掛けることだってあったし密偵としてこれからも生きていくなら経験を積んだ方がよりよく振る舞えるはずだった。

 

そうは思ってもなかなか決心がつかないのは「結婚願望」が捨てきれないからだった。

 

父王は許してくださったとはいえライザール様のお気持ちまではどうしようもなかった。もし彼が私との結婚を望まぬのであれば、諦めるしかない。

 

その代り私を選んでくださらないのであれば彼にだって私が誰となにをしようとも口を出す権利はないということだった。

 

彼以外の相手に抱かれるなんてそんな覚悟が私にあればだけど

 

煮詰まっていた私は自棄になっていたのかもしれなかった。

 

「シリーン・・・か?」

 

 

なぜよりにもよって今このタイミングで彼が現れるのだろうか?

 

とはいえ王の呼びかけに応じないわけにもいかず、気まずさを押し隠て私は振り向いた。

 

案の定そこにはライザール様が立っていた。

 

トクン

 

「御機嫌よう、ライザール王」

 

つい他人行儀な振る舞いになってしまう。

 

それだけでなにか察したのか、ライザール様は苦笑された。

 

「どうやら白娘子殿はご機嫌斜めなようだ。よければ私の部屋で休憩されよ。茶でも振る舞おう」

 

 

好きな相手に部屋に誘われたら拒めるはずもなかった。

 

本当はこの格好で皇驪様を誘惑する予定だったのに・・・

 

今日はどのみち仕事が手に付きそうになかった私は素直にライザール様の先導で彼の自室へとお邪魔することになった。