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先ほどから採血の話が出る度に心に引っかかっていたことが鮮明になった私の顏から血の気が引く。ずっと違和感があったのにその正体がわからなかったがいまはっきりとわかった気がするのだ。
「あの・・・私も気になっていることがあるのですがいいでしょうか?」
私の言葉に話し合われていたお二人が私に注目する。ライザール様に目で促された私は自分の耳たぶを指しながら続けた。
「このピアス、開けてくれたの私の友人の娘なんです。あの日アイーシャが突然やってきて。ピアスって耳たぶに専用の針で穴を開けるでしょう?考えてみれば採血と同じだなって思ったら急に怖くなってしまって。アイーシャは店主様をご存知です。」
私の言葉にライザール様の表情が曇る。彼はピアスを開けたことをすぐに気づいてくれたが、気晴らしだといった私の言葉を信じてくれていたのだ。
私のために宮殿に忍んできたアイーシャを庇うためについた嘘がなかったら彼も疑念をもったかもしれない。
けれどやはりライザール様は私を責めなかった。私は加害者ではなくすでに騙された被害者として彼は受け入れているのだろう。
「ではそのアイーシャとやらも店主の仲間とみるべきだな。友を信じたいお前の気持ちはわかるが、その女はお前の信頼を利用してお前の血を採りに来たのだろう」
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それは私がライザール様にしようとしていたことだった。裏切られてみて初めて己がいかに非道なことをしようとしていたのだと実感してしまう。
「ごめんなさい・・・ライザール様・・私っ貴方になんてことを」
涙で霞む目で彼を見る私を彼はそっと抱きしめてくれた。
私が落ち着いた頃合いを見図りライザール様は話を続ける。
「お前にはショックだろうが、おそらく店主とアイーシャは最初からグルだった。暗示をかけられているなら記憶の改ざんもされている可能性すらある以上、お前はもうその二人と会ってはいけない。会えば再び取り込まれてしまうだろう」
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人生全てが瓦解してしまうほどの衝撃だったが、今となっては彼らのことは何一つ信用できなかった。
「店主様はなにをしようとしているのでしょうか?私の血と王の血を集めていったいなにを?そもそもなぜ私の血なんか・・」
私は平凡な女だった。両親を盗賊に殺され彷徨っているところを店主様に拾われて・・・ああ・・でもそれすら嘘ならばいったい何を信じたら・・・
眩暈を感じて意識を手放す私をライザール様が驚いたように抱きとめてくださった。
ああ・・どうか貴方だけはこの手を離さないで・・二度と・・・
寄る辺もない私の心を預けられる場所はもはやライザール様の元しかなかった。