これからどうすればいいのか答えは出なくてこう着状態だった私の元にアイーシャが顔を出した。

 

驚く私に彼女は笑顔でいつもと変わりない態度だった。

 

でもこんな悩みアイーシャにだって言えなかった。

だからことさら平静を装って笑顔を見せた。

 

「店主様がアンタによろしくってさ。私も応援してるからさ頑張ってシリーン・・大丈夫?なんか疲れてない?」

 

詳しくは話してないけどある程度は店主様から聞いているのだろう。

 

私の男嫌いは彼女も知るところだから彼女も深くは聞かなかった。

 

もちろん正確には逆で好きだからこその悩みだけど落ち込んでいることに変わりはない。

 

「ありがとう・・アイーシャ」

 

思わず泣きそうになってしまう。里心がついたという感じだった。

 

ライザール様を愛しているし彼の傍にいたかったけれど、私はカマルの密偵だったからこのままというわけにはいかなかった。

 

「ね、ジェミルはどうしてるか知ってる?」

 

それとなく聞いてみる。アイーシャはもちろんジェミルのことを知っているから消息を知っている可能性が高かった。

 

「ジェミル~?たぶん元気なんじゃない?・・あの子反抗期だからよくわかんないわね~あ、そうそう、今日はねシリーンにプレゼント持ってきたんだ~はい、これ」

 

 

とりあえずジェミルが無事らしいことに安堵しながらアイーシャの贈り物を受けとった私は促されるままリボンのついた箱を開けた。

 

「・・・ピアスね?素敵」

 

初心者向けのものだった。とはいえ私の耳に穴は開いていない。

 

そう思っていたらアイーシャがその場で慣れた手つきで穴を開けてくれた。痛みはわずかだった。

 

「ピアスデビューおめでとう」

 

それからアイーシャは引き止める間もなくあわただしく帰って行った。

 

本当に私の様子を窺いにきただけみたいだった。