俺にはシリーンの気持ちがわかんなかったけど、ヤツに惚れてるんだってことは気づいた。
アイツがあんな顏すんなんて・・・初めてだった。
もう潮時なのかもしれない。
店主に諾々としたがってきた俺だけど、シリーンをアイツから自由にしてやりたかった。
どうすりゃあいいんだ?
俺はどうすればアイツの役にたてる?
ムカつくが確かにあのオーサマはアイツに惚れているようだった。そしてアイツもオーサマを・・・
チッ・・・あんな光景見たくなかったぜ。
けど俺は歯を食いしばって耐えた。俺は確かにアイツに惚れてたけどガキみたいに騒いで台無しにしたくなかったんだ。
アイツが密偵でも幸せになる権利はあんだろ。
だけどそれは明らかに店主に対する裏切り行為だった。
それを悟られるわけにはいかなかった。
俺は頭は良くないが店主の裏をかかないとアイツを守ることはできなかった。
シリーンの裏切りの発覚までの時間稼ぎをする必要があった。
アイツをもう一度説得してなんとかして奴の血を手に入れねえと!
だが実際俺は捕らわれたままで身動きがとれそうもなかった。
一体どうしたら!?
どれだけ焦燥が募ってもどうにもならないほど俺は追いつめられていた。
絶対的な権力を持った男にアイツを奪われ、牢にぶち込まれた俺の末路なんて考えなくてもわかる。
生かすも殺すも奴次第。アイツを選んだシリーンが俺の命乞いするかなんて俺にはわからない。考えたくもなかった。