あの男も彼女の瞳を覗きこんだ時になにか運命を感じたのかもしれない。
私もそうだった。
なによりも私の心を惑わすのは彼女の瞳の中に感情の揺らぎ、私への思慕を感じたからだ。
まだ彼女を想っていた私に拒めるはずもなかった。
私を欲しいと言った彼女の言葉が本心かはわからない。だからことさら手ひどく抱いた。
はじめてだったことに気づきながら優しくできなかったなんて我ながら最低だと思う。
それほど私は彼女に渇えていた。これが彼女の時間稼ぎならば成功だ。
まんまと彼女の身体に溺れた愚かな男を嘲笑うがいい。
本気の私の熱量は慣れていない彼女には受け入れるのさえ無謀だっただろう。
こんなはずじゃなかったと後悔がよぎる。
年下の彼女の挑発に乗るなんて我ながら浅はかだった。
だが落ち込む私を余所に彼女の顔は晴れやかで清々しいものだった。
ドクン
彼女はこの心を伴わない行為を後悔していないのだと悟る。
自分の身を投げ出してまでなにを得たいのか。
私の心かあの男の命か、あるいはその両方か。
彼女の真実はどこにあるのだろうか?
意識を手放した彼女を私は抱き留めたまま鎖を外す。
ここまでやる気はなかった。あの男を吐かせるためにほんの少し揺さぶりをかけるだけのつもりだったというのに。
煽られるまま彼女と行為に及んでしまった。
彼女は私の成すがままだった。初めて触れた彼女の身体は香しく柔らかで豊かだった。
私の唇や指でなぶられるまま素直に乱れる様はとても美しかった。
彼女は常に気品に満ち溢れていたが、幾重にもベールをまとい、己の欲望を隠してきたのだろう。
