ライザール様視点のロランのその後の隙間エピソードです

 

クライデルでの出来事はまさに悪夢だったが、ヴィンスの言葉通り事件は表ざたになることはなく内々に処理された。

 

 

イベリスの丘の捜索を行ったヴィンスは、失踪していたパメラと少女達を発見したという。

 

彼女達はひっそりと埋葬されており、ロランは彼女達の墓に花を添えていた。

 

私にできたことは被害者を家族の元に返し、見舞金を贈り哀悼の意を示すことだけだった。

 

己の私欲のためだけに罪を重ねたロランを到底許すことはできなかったが、身を投じてまで彼の心を救おうと奔走したシリーンの努力を無下にはできなかった。

 

それに異教徒とはいえヴィンスは立派な男だ、隣国である以上国交も保たねばならなかった。

 

ヴィンスに捕えられたロランはほとぼりが冷めるまで数年間幽閉されることとなったが、罪の告解を経て彼は恩赦を与えられ釈放された。

 

彼はその後己の犯した罪を忘れないために聖職者となったということだ。

 

心を癒すことにより、真の意味で己の罪深さをようやく知ったロランは滂沱したと言う。

 

愛欲に惑っていた男の魂は神の慈悲を知り救済されたようだ。

 

そして彼は己以外にも多くの迷える子羊たちがいることを知り、彼らのために祈る日々を過ごしている。

 

手紙にしたためられた内容はとても誠実で私は彼の変化を実感した。

 

 

二度と会うことはなかろうが、彼が生涯をかけて贖罪することを願う。

 

私の肩に身を寄せ共に手紙を読むシリーンの顏も穏やかだった。