叫び

「それでシリーンに同じことをしたというのか!?」

 

他の被害者も気の毒だったが今はシリーンのことを問いたださなければならなかった。

 

「そうですよ?・・・だって彼女は特別だったから。失踪事件を調べていた彼女は僕が犯人だと突き止めたんです。

 

そして僕の気持ちを知った彼女は僕に取引をもちかけました」

 

 

『ロラン様、聞いてください。私なら貴方の願いを叶えてさしあげることができます。

 

貴方もご存じのとおり私は「特別」だから。でもどうか罪を重ねるのはもうやめてください。

 

パメラさまだってきっとそんなことは望まれてません。』

 

シリーンはそう言って彼と密約を交わしたのだと言う。

 

「そして彼女はこう言いました。

 

私には愛している方がいます。なにがあろうともその方の元へ戻らねばなりません。

 

だから1年だけ、貴方のお傍にいますから・・もしその方が私を探しに来たら解放してください・・・って」

 

!!

 

――シリーン!!やはり私を待っていてくれたのだな

 

「この1年本当に幸せでした。パメラみたいな失敗作じゃないシリーンは本当に綺麗で完璧な人形だった。

 

僕ね、彼女とたくさんお話したんですよ。本当に楽しかったなあ・・・」

 

追憶に浸るロランの顏は恍惚としていて、彼女との思い出が駆け巡っているようだった。

 

異常ではあったが確かにロランは姉を失った喪失を埋め、癒しを得ることができたようだ。

 

だがそろそろ幕引きだった。

 

蛇香のライラ 深紅のカナリア ルト

 

彼にとって私は招かれざる客だったが、この男にも私達の恋路を邪魔する権利はないはずだ。

 

「もう人形ごっこは終わりだ!!シリーンを返してもらおうか!!」

 

怒りに燃える双眸でロランを見据える私にロランはいいことを思いついたとでもいうかのように無邪気に言った。

 

「そうだ!いっそのこと彼女を共有しませんか?彼女を愛する貴方と僕で・・・それって素晴らしいと思うんですけど。貴方なら彼女を喜ばせることができるでしょう?」

 

!?

 

「断る!!ふざけるな!!シリーンの優しさにつけ込み自由を奪ったお前に彼女を愛する資格はない!!

 

お前は確かに犠牲者だったかもしれない、だが私はお前に同情はしない!!今度はお前が罪を悔い改めるがいい!!」

 

叫ぶと同時にヴィンス王の手の者たちが室内へとなだれ込んでくる。

 

「ロランを捕えろ。・・言い分は改めて聞く。・・まったく愚かなことをしたものだ。女の血を抜き人形にするなど・・おぞましき行いだ」

 

兵に取り囲まれたロランは抵抗の意思を見せずに、捕縛された。

 

「ああ・・そうだ、ライザール王。安心してください、彼女とキスはしたけどそれ以上のことはしてないですよ?

 

僕ね、女性を喜ばせることがもうできないんです」

 

キスだけでも許せないが、ロランの告白は壮絶なもので、私は絶句してしまう。

 

彼の語ったところによれば、かつて幽閉されていたおり、連日女達に弄ばれていたロランだったが、

 

それを見咎めたパメラから女たちを誘惑した咎で罰を受けたらしい。

 

そのせいで彼は女性と愛を交わせない身体になってしまったのだ。

 

女性を喜ばせる術を極めた彼がその術を失い、

歪な人形劇にのめり込む一因になったのだろう。