叫び

ロランもまた同じ行為をしていたのだろうと思えば八つ裂きにしても飽き足りない。

 

その時だった、続き部屋の方で気配がしたかと思うと寝室の方へと誰かが近づく足音が聞えた。

 

あまりの衝撃で呆然として顔をあげた私の前にロランがひっそりとたたずんでいた。

 

――この男がシリーンをこんな目に!

 

男ながら花のかんばせと呼ぶにふさわしい容貌の持ち主だったがその狂気は計り知れない。

 

「ああ・・やっぱりここだったんですね」

 

ロランはカナリアと私を見比べ事情を察したらしい。

 

「こんばんはライザール王、僕ね・・貴方が来るのをずっと待ってた気がします」

 

仮にも城主の男を前に隙だらけなことに気づき、なんとか足を踏ん張って立ち上がった私は臨戦態勢になる。

 

シリーンを背に守るように立ちはだかった。

 

盗賊のごとき風体の妖しい私と貴族然としたか弱いロランではどちらが悪役かわからない。

 

彼が呼べば番兵が駆けつけいかに私が王とてこの居城が彼のテリトリーである以上捕らわれてしまう可能性すらあった。

 

「そう怖い顔しないでくださいよ。僕、強くてたくましい貴方に憧れていたんですよ。でも憧れていたのは僕だけじゃなかった。

 

彼女もまた貴方を求めていた。彼女のことずっと見ていたから気づいたんです。

 

貴方は彼女の願いどおりこの場所に来た。だからぼく嬉しかったんです、もし貴方が来たらその時は彼女をお返ししようって。

 

少し僕の話を聞いていただけますか?ああ・・時間稼ぎとかじゃないですよ」

 

 

そう言い置くとロランはゆっくりと語りだした。

 

「僕ね姉のパメラが好きだったんです。でも彼女はヴィンス殿下のことを愛していた。敵だった彼を引き入れて故郷を滅ぼしてしまうくらいにね。

 

僕はそれでも彼女を慕う気持ちを止められませんでした。だって彼女は美しくて気高くて・・だから何をされても構わなかった。

 

僕は彼女にただ愛してほしかったんです。でも自由を得て僕に飽きた彼女はヴィンス殿下を探して出て行こうとしました。

 

僕を置いて・・僕は耐えられなかった。だから僕は愛読書の手順に従って彼女を永遠に美しいままでいられるお人形にしたんです」

 

!!

 

姉を慕うあまり手にかけたとは。

 

だがロランの言葉のどこにも罪を悔いる響きはなかった。

 

人形にすることが目的で死は結果でしかないというあまりにも身勝手な言い分に鳥肌がたつ。

 

だが雄弁に罪を告白する彼を私は好きにさせた。

 

「だけど・・あの本に記されていたことは真実じゃなかった。

 

姉の身体は保てなくなり・・・僕は僕は・・・ううううっ・・・寂しくて寂しくてたまらなくて・・

 

だから姉に似た子を探しては連れてきていろいろ試したんですけど・・やっぱり上手くいかなかった」

 

私には狂気に支配されたロランにかける言葉は見当たらなかった。