それはさておき私は約定通り、国を奪還するために協力を仰ぐヴィンス殿下を支援する方針を固めた。

 

軍を動かし、また国境に集う避難民の支援も同時に行った。

 

そのかいあって、やがてクーデータは完全に鎮圧されヴィンス殿下は反逆者のテオドールを断罪して、実権を取り戻し王座に返り咲いたのである。

 

王が亡き今、彼はその遺志を継ぎ新たな王として即位した。

 

我が国はもちろん、ルーガンも混乱を極めたがシリーンが消えたのはそんなどさくさにまぎれた頃合いだった。

 

店主の話では密命を受けた彼女は単身クライデルへと向かったらしい。

 

「そうなんだよ。実はその頃少女の失踪事件が起きていてね、その調査をしていたシリーンの元にパメラさまを探して欲しいと言うロラン様が現れたんだ」

 

シリーンは逐一調査結果を店主に報告していた。

 

少女の失踪とパメラの失踪はどうやら関係があるのではないかとシリーンは結論付けたようだ。

 

なんだか嫌な予感がしてならなかった。

 

彼女がクライデルに向かったというならば彼女と親しくしていたロラン殿がなにか知っているのではないか?

 

言動や行動が不穏だった彼について考えれば考えるほど私の疑念は募る一方だった。

 

「では店主はロランがシリーンの失踪に関係していると?」

 

端的に問う私に店主は口の端を歪めた。

どうやら是ということらしい。

 

「ったくあの変態ヤローシリーンにひでえことしやがる・・・」

 

ぶつくさぼやくジェミルの言動を聞く限りではやはり彼らは重要な情報を得ているようだ。