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私の腕の中でけだるそうに身を休める彼女の頬や唇についばむようにキスを与えると彼女はくすぐったそうに身をよじった。
やがて彼女が私にそっと尋ねた。
「私では貴方の一夜の恋のお相手にしかなれませんか?」
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それは確かに今夜彼女を見た時に考えたことだった。
まるで読心術でも持っているかのようだ。
すると彼女は悲しげに微笑んだ。
「ええ・・その通りです。だから私はヴィンス殿下に近づきその心の内を読むことができたのですわ。
ロラン様は・・あの方は深い闇をもった可哀そうな方です。
私にはあの方を癒すことはできませんでした。
でもライザール様、貴方は私がこれまで出会ったことのない方ですわ。だからこそ私は貴方が欲しいと思いました」
!!
己の心の内を見透かされるのは恐ろしいことだった。
彼女が言うには信頼度が高まれば高まるほど相手の心が手に取るようにわかってしまう瞬間があるらしい。
私にだって欲望も下心もあったが、ようはバランスが重要なのだそうだ。
誠実な想いは真紅に誘惑は紫に軽薄な想いは灰色にそして策謀は闇色だと彼女は言った。
想いを寄せる私にあんな商売女のような扱いを受けてさぞかし辛かったに違いない。
真面目に反省する私に彼女が苦笑をもらす。
「ふふふ・・真面目な方ですね。あれはあれで・・・すごく興奮しました」
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聖女でも悪女でもなく案外ウィットにとんだ女なのかもしれない。
「そうなのか?それならよいが」
やりにくいことこの上なかった。だが全ての想いがわかるものでもないらしかった。
それだけ人の心は複雑で他人を拒絶するためのベールを幾重にもまとっているということだろう。
「私を貴方の『女』にして欲しいのです。ね、いいでしょう?」
時折妙に高貴な雰囲気をまとう彼女の姿にドキリとさせられる瞬間があった。
彼女は「女」と言ったがそれが愛人程度なのか本命なのかそれはこれからの私次第だということだろう。
「ああ・・・私もそうしたい」
「嬉しい!ありがとうございます、ライザール様」
まんまと彼女の策に絡め取られてしまったようだったが、不満はなかった。
なんというかこれまでの人生で会ったことのない類の女だったからだ。
変に構えず自然体でいて欲しいと彼女は言った。
特殊な能力を前にそれはなかなか難しい要求ではあったが、私は了承した。
なんということはない、彼女はありのままの私を気に入ったのだろうから。