戻ったってアイツの元にはもう戻れるわけないけどさ・・・

 

さすがの俺も女としてシリーンを手に入れることはすでに諦めていた。

 

アイツがやっと掴んだ幸せを壊す気はない

 

アイツにはやっぱ笑っていて欲しいんだ

 

けどだからといって長年惚れてた女をそんな簡単に忘れられるはずもねえし

 

確かにシャナーサを出てみて思ったのは世の中そこら中に誘惑はあったけどさ

 

他の女なんて・・・

 

俺はチラリとすぐ横でラクダの世話をするナディアを見た

 

すると視線を感じたのか目ざとくナディアが俺を見る

 

「なによジェミル!さては私に惚れたな」

 

 

どこか期待に輝く目を見たらさすがの俺もピンときちまう

 

「チッませガキが。そんなわけないだろ。お前は妹みたいなもん・・・・いや、やっぱ今のナシ」

 

勝気なナディアの瞳が潤むのを見た俺は咄嗟に言葉を飲み込む。

 

しっかりものだから多感なお年頃ってヤツだったのを忘れてたぜ。

 

アイツに弟扱いされるたびイラついてた俺が俺に気があるそぶりを見せるナディアにそんなこと言えるはずはなかった。

 

「悪ぃけど俺、失恋したばっかだからそんな気分になれねえよ。お前だって誰かの身代わりなんてヤだろ?」

 

少なくとも俺にはそんな扱いされるのは耐えられそうにない。

名前を捨てて結婚したシリーンの気持ちを想えば尚更だった。

 

「へえ~アンタみたいな奴でも振られるんだね~それじゃあ世の男どもはどうすりゃいいのよ。もしかしてアンタって理想が高いわけ?」

 

ガキのくせにずけずけと言いやがる。他のヤロウのことなんて俺の知ったこっちゃねえが理想は確かに高かったのだと改めて思う。

 

まさかアイツがオーサマに気に入られてシャナーサ王妃になるなんてなあ

 

俺はオーサマと惚れた女を争ってたわけだ。

もっとも勝負にもならねえデキレースだったが

 

金も権力もあるボスザルタイプのオーサマ相手に俺が敵うはずもなかった。

 

しかもアイツ経験値高そうだったしな

 

やっぱそうなのか・・経験積まねえとダメなんかな

 

シリーンは優しい女だからはっきりと言わなかったがいわゆる「下手な男は嫌」ってヤツだったのか!?

 

おおっ・・確かに金も権力も・・・ねえな

 

サイズもテクニックも完敗だった。

 

お、俺はどうしたらいいんだっ!?