絶望に飲み込まれそうになっていた大切なジェミルの希望をつないでくれたのはライラ・ヌールだから、ライザール様にもできることならわかって欲しかった。

 

口答えする気なんかなかったけれどつい力説してしまった私をライザール様は驚いたように見つめた後、ふっと笑みをこぼされた。

 

「麗しの婚約者殿にそこまで熱意を傾けられるとは、そのライラ・ヌールとやらが羨ましいかぎりだ」

 

なんだか誤魔化されてしまった気もするけれど、ライザール様も機嫌を直されたみたいで安堵する。

 

まだ結婚してもいないのに生意気だったかもしれないと一人反省する私にライザール様がとても真摯な眼差しで言われた。

 

「いや、前にも言ったが夫婦となる以上できれば私は建前ではなくお前の率直な意見が聞きたい。

 

そうでなければ・・・そうでなければ絆を深めることなどできないだろう?私はお前との結婚をもはや政略結婚だとは考えていない。

 

確かにきっかけはそうだったかもしれないが、お前という女に会ってみて考えが変わった。お前とは真の意味での家族になりたい。

 

だからカルゥーのことも紹介できてよかったと思う。

確かに・・秘めていたいことはあるし言えぬこともある。

だが・・そうだな、これは私の願いだがいつか全て打ち明けることができる日がくると思っている。

 

こう見えてもお前より人生経験が長い分苦い思いは経験済みだし、裏切られたことだってある。

 

だがだからこそ妻になるお前のことだけは私は信じたいのだ」

 

!!

 

これまで以上に彼が心の内を明かしてくれたことが嬉しかった。

 

 

私はどこか彼に支えて欲しいと甘えた気持ちがあったかもしれない。

 

 

だって彼は年上だったしごく自然な発想だと思っていた。

 

でも私だって彼の心の拠り所になれるってわかったから。

 

それってとても素敵なことだった。

 

彼の温かな言葉を噛みしめる。

 

私にも彼に言えないこと聞けないことはあった。

でもまずは互いに信頼するための約束を交わすところから始めればいいのだ。

 

「ええ・・・貴方が私を信じてくださったように私も貴方を信じます。だって貴方は私の大切な方だから」

 

誓い合うように私たちはキスを交わす。

 

ああ・・・やっぱり貴方の居る場所が私が居たい場所です、ライザール様