思えば俺がアイツに男扱いされてないのはその時からだった。
俺だって少しは立派に成長したってのに・・・
俺の脳裏にシリーンの腰を抱き寄せて高笑いするライザールと窓から盗み見た奴の凶悪なブラックマンバがちらつく
!!!
「クソ~ッ太刀打ちできねえ!!」
一人静かに敗北感を味わった俺は、以前から気になっていたことを思い浮かべる。
「やっぱアイツって・・そうなのか?」
シリーンを抱くアイツを何度か見かけた時のことだ、ヤツの上腕にくっきりとついた獣の爪痕を目にした。
あの傷跡には覚えがあった。
俺に名前をくれたライラ・ヌールにも同じような傷跡があった。
普段は服で隠れるところだったが、最中に服を脱ぎ捨てたからたまたま気づいた。
傲慢そうないけすかない男だと思っていたけど、そう思えばどこかルトの面影もある気がした。
もしアイツがルトならライザールは俺の名づけ親だった。
俺を闇から救い上げてくれたのはシリーンだったけど、初めて俺に声をかけて名前をくれたのはアイツだった。
どうやら俺はオーサマに恩があるようだ。
・・・いやオーサマじゃねえのか
ともかくアイツが名前をくれたから俺はシリーンに名前を呼んでもらえた。
だからもしアイツがライラ・ヌールならシリーンを安心して任せられる。
あれからもライラ・ヌールは正義の赴くままに弱きを助ける義賊だったから。
アイツは本物じゃないかもしれないけど、アイツほど立派なオーサマが他にいるとも思えない。
アイツがこのシャナーサに必要なヤツだってことは俺にもわかる
この広いシャナーサの片隅で俺たちは出会い奇妙な縁で結ばれていたんだ。
そう思えば少しだけヤツに対して親しみを感じた。
ま、そんなことアイツには言わねえけど
これ以上調子づかせることねえよな
ともかく俺は奴を信じて共にシリーンを救うだけだ