→レイラの正体を尋ねる

 

「教えてくれ!ライラ・・彼女が誰なのか」

 

まず、一番知りたいことを私は尋ねた。

 

だがライラは目を眇めて私を見据えたまま言った。

 

「私の知りたいことを教えてくれるならね」

 

情報交換を提案するライラは不穏な気配をまとっていた。

 

「事と次第によっては教えてもいいが・・内容による」

 

そう言うしかなかった。

 

その情報をどうこの女が扱うのかわからぬ以上応えられないことはあった。

 

「でしょうね。だけど・・・鍵は私が握っていることを忘れないで」

 

余裕たっぷりのライラを忌々しげに睨みつけた私はひとつ頷く。

 

「いいだろう。お前の質問を聞こう」

 

促す私にライラは瞑想するかのようにしばし目を閉じたかと思うと、開いた目で私を見据えたまま問いかけた。

 

「私が知りたいのは王の居場所・・かしら?」

 

 

それは衝撃的な質問だった。

 

なぜならばライラは私が王でないことを知っているということになるからだ。

 

私はとっさに表情を読まれぬように動揺を飲み込んだ。

 

「さあお互い質問はひとつずつよ?貴方が教えてくれたら私もこたえてあげる」

 

試すようにこちらを窺うライラを見据えたまま私は憮然とした面持ちのまま断言した。

 

「王ならばお前の眼前にいる。私は嘘はつかない。さあ今度はお前が応える番だ。レイラの正体を応えてもらおうか」

 

しばし考え込んだライラは私の言葉に納得したのか肩をすくめた。

 

「いいわ・・では私が応える番ね。でもレイラが誰なのか貴方はもうわかっているはずよ。貴方が誰よりも愛して求めている存在、といえばわかるかしら?」

 

――シリーン!!

 

全てを見透かすライラの言葉が俺の脳裏にシリーンの像を結ぶ。

 

だが確認することはできなかった。ライラが私の唇に指を押し当て口にすることを封じたからだ。

 

「その名前で私を呼ばないで。それは貴方があの娘を呼ぶ時に使えばいい。覚悟があるならね」

 

 

互いに手の内を明かさぬ問答は続く。

 

「覚悟・・・とはどういう意味だ?」

 

もしレイラがシリーンならば今すぐ会いたかった。

 

しかしライラは冷静に返す。

 

「わかるはずよ・・・貴方の罪、貴方はその罪をあの娘に知られることを恐れているのでしょう?」

 

!!

 

ライラの言葉が私の心のうちに秘めていた罪悪感を揺り起こす。

 

「お前は・・知っているのか?」

 

できれば聞きたくなかった。私のけっして消えぬ罪のことなど。

 

「ええ、もちろん。だって貴方がライラ・ヌールなのだから」

 

!!

 

いきなり核心をつかれた私は絶句してしまう。