主な変更点はシリーンの生い立ちと、ジェミルは王族ではなくただのアサシン
しかも!!しかもですよ!シリーンが経験済みだったら、という妄想設定です
幾度めかの快楽の果てを迎えたシリーンだったが、だがもはや限界だった。
ご褒美のように彼が与えた口づけを受けた直後シリーンは意識を手放す。
気絶したシリーンの目は微かに濡れていて、ライザールの胸がずきりと痛みが走る。
それは彼の良心から発された悲鳴にも似たものだった。
この感情の名前はわかっていた。
それはまぎれもない嫉妬
愛を裏切った者に対する怒りだった。
私の婚約者は密偵だった。
できることなら信じたくはなかった。だが暗殺者の男と通じ、ともに逃げようとしたのは動かしがたく許しがたい事実だった。
「・・・行くな。・・・・行かないでくれ」
それはまぎれもなく私の懇願だった。
痛手を負いながら咄嗟に伸ばした腕で彼女の細い手首を掴みとった瞬間口をついたのは彼女を失いたくないという強い感情からのものだった。
立ち止まり私を見返すどこか途方にくれたようなたよりない彼女の双眸からも迷いを感じた。
確かにあの瞬間私達の間に葛藤があったのだ。
だが彼女は男を見捨てることができずに逃げ出そうとした。
だから追手を掛けて二人を捕えた。
いかな秘密があろうが、女の場合は身体にきくのが手っ取り早い。
過去にも密偵だった女たちはいたが、私自ら女たちの相手をすることはなかった。
だが、私は他の男に彼女を渡すことはできなかった。
処女でもない私を裏切った密偵(女)を、である。
だがどこか懐かしさを感じるあの風貌とそして処女ではなかったことがより一層私の疑惑を深めていた。
私がまだルトと呼ばれていたころ、
唯一愛した少女、シリーン。
親の決めた結婚から逃げ出した家出少女だった。
砂嵐から私が助けた。
まだ1×才のあどけなさの残るシリーンを誰にも渡したくなくて、私に恋した初々しい彼女をなだめながらその全てを奪った。
あの女が密偵であったとしても私のシリーンならば「処女であってはならないのだ」
だからこそ処女で無いのだと分かった時、私は安堵したのだから。
それが密偵だと知りつつも私が彼女を生かしている理由だった。
だが一夜の恋ではなく大切な女になるはずだったシリーンは再び姿を消した。
彼女の行方は知れずその甘い関係は蜃気楼のように消え去った。
だがそれから数年後、王宮に忍び込んだ私は真実を知ることになった。
有力な大貴族の養女だった彼女は王に嫁ぐはずだったが、純血でなくなったことを知られることを恐れた家人により放逐されたのだという。
帰る場所と後ろ盾を失った少女を待つ運命など悲惨の極みだったろう。
私はその話を真の王であるライザから聞いた。
だが彼の力をもってしてもその後の行方はわからなかった。
彼女はその時点で店主の手に落ちていてなにもかもが手遅れだったのだ。
まだ未成熟だった少女の放つ他を圧倒する美とカリスマ性をあの店主は見抜いていたのかもしれない。
その店主の待望通り彼女は艶やかな毒を放つ美しき魔性の密偵へと変貌を遂げた。
彼女の喪失から数年がたち王の役割も板についてきたころ立ち消えになっていた王の結婚話が持ち上がった。
そして私は彼女と再会したのだ。