「ジェミルを捕まえろ」イベントに失敗すると発生するイベント(妄想)
やはりジェミルがライザールさまの暗殺計画を企んでいるのはもはや間違いなかったが逃げ足の速いジェミルに逃げられること数回、シリーンは途方にくれることになった。
そんなシリーンの様子を屋根の上から窺ったジェミルは重いため息をついた。
「チッ・・・シリーンのやつ人の気も知らないで」
シリーンから発散される甘い誘惑の香りはジェミルの思考を奪うものだった。
あのタトゥーは男を誘惑するために店主がシリーンに施したものだ。
その威力ははてしなく抗う術をもたないジェミルはシリーンを遠ざけるしかなかったのである。
もっともシリーンの用件は聞かずともわかっていた。
どうせあの男の命乞いだろう。何故ならシリーンはあの男を・・・
――くそっ
そう思えば血が昂るのを感じた。
もし俺があの男を殺せばシリーンから憎まれるかもしれない。
そうは思ってもあの男をやらねばシリーンを守れない。
――だからこれでいいんだ。たとえアイツに嫌われても俺がアイツを守るんだ
愛する女を守るために、そんなジェミルの密かな覚悟を知る由もなく途方に暮れるシリーン。
そんなシリーンを柱の影から呼びとめた者があった。
「姫様・・・こちらへ」
見ると宰相のザマーンだった。ライザールの手前互いに知らぬふりを通してはいたが互いに見知った仲だった。
「ザマーン・・ちょうどよかったわ。ジェミルを見なかった?」
いかにザマーンであってもジェミルがライザールの暗殺を企てていることを密告するわけにもいかなかった。やはり秘密裏に対処するしかない。
しかし聡明な宰相の目を誤魔化すのはやはり至難の業だった。
「いえ、王子をお探しのようですが。それは無理ですよ」
含みのある言い方にシリーンは内心動揺しながらザマーンの出方を窺うことにした。
「それはなぜ?」
すると周囲の様子を窺ったザマーンはさらに声をひそめて語りだした。
「これはあの方から窺ったのですが。実は姫様がされているタトゥーは異性をその気にさせる効果があるとか。なかでもとりわけ王族の男子には絶大の効果を発揮するそうです。王子が貴女から逃げるのはそのためかと」
!?
ザマーンの指摘にシリーンの頬が羞恥に染まる。だがそれで合点がいった。
知らなかったとはいえジェミルには気を遣わせていたようだ。
ジェミルに近づくためにはまずはこのタトゥーを消さねばならないらしい。
「姫、よろしければこちらをお使いください」
そう言ってザマーンが懐から陶器の瓶を差し出す。
「これは・・・オイル?」
「はい・・・ハニートラップなどに引っかかっていては一国の宰相などできませんからな。必需品ですよ・・ふふふ」
(オーラが黒いわよザマーン・・恐ろしい男っ)
笑止千万とばかりに皮肉な笑みを浮かべる腹黒いザマーンの姿を頼もしげに見返したシリーンはありがたく頂戴することにした。
「ありがと、ザマーン。これは使わせてもらうわね」
オイルは手に入れた。あとは誰に協力してもらうかだ。
さあ共犯者は誰にしようかしら?
→ライザール
そうね、やっぱりライザールさましかいないわよね![]()
我が弟ジェミルに命を狙われている当事者を抱き込むのが一番手っ取り早いのは間違いなかった。
そうとなったらおしゃれしてライザールさまに夜這いをかけなくっちゃ![]()
待っててね、ライザールさま![]()
まずはターゲットを誘惑するための身支度をするために意気揚々とシリーンは自室へ向かったのだった。