ライザールさまの言葉は意外なものでもちろん初めは私も驚いた。
そもそもこの場所でルトと出会ったことも驚いたけれど。
目の前にいるのは私をまだ知らないルト。年はジェミルと同じくらいだろうか。
青年と呼ぶにはまだ年若い青さがあった。
なぜこんなことが起きたのかはわからない。けれど私はすぐに彼に興味を覚えた。
もしかするとライザールさまも昔同じ体験をしたのかもしれないとふと思う。
もしそうであるなら運命を感じてしまう。
私の初めてはライザールさまに捧げた。
あの頃は密偵だったからなびかない彼をあの手この手で誘惑しようと必死だった。
そのせいか慣れた仕草が彼の不興をかってしまい誤解を招いてしまったのだ。
初夜のあの喪失の瞬間まで彼は私が初めてだとは思っていなかったのだと告白した。
貞操を守るために必死で磨いたスキルが彼にそう思わせてしまったとは皮肉だった。
けれど喪失の衝撃で声を殺して泣く私を彼は優しく抱きしめて涙を舐めてなだめてくれた。
王としての手腕を高く評価していたとはいえ常に頑なで付け入る隙もなく心に触れさせてくれない彼が見せてくれた初めての優しさに触れた瞬間私はきっと彼に恋していた。
密偵でありたくてそれを認めたくなくて意地になってしまい気づくのが遅れたけれど。
だからこそどんどん惹かれて自分が変わっていくことが怖かった。
でもライザールさまも同じだった。私を信じたくて何度も葛藤したのだと彼は打ち明けてくれた。
初めての恋を前に私たちはともに揺れていたのだ。
私にとってライザールさまこそ初恋の人だった。
ルトに抱いていた淡い憧れとも違う痛みも苦しみも伴う魂を揺さぶられる強い想い。
その全てを彼が与えてくれた。
だからこそ今の私たちがある。初めての人がライザールさまでよかった。
できることなら私もこの感動をまだ無垢なルトに伝えたかった。
ライザールさまもルトも私にとって大切な二人だ。
もちろんこんな体験は初めてだから男性二人を受け入れることに躊躇や羞恥がないといったら嘘になる。
私の不安な気持ちを察したのかライザールさまと目が合った。
――大丈夫・・貴方を信じてるから
その琥珀色の強い眼差しを見つめる私の心から不安は消えていく。
それにたぶんだけど怖いのはルトもきっと同じ。だから私は彼を安心させたくて笑顔で応じた。
私を見るルトの眼差しに徐々に欲望が灯る。ライザールさまであって彼ではまだない人。貴方はどんな顔を魅せてくれるのかしら・・・
