子鬼達が去り一人広間に佇む鬼灯は誰にともなくひとりごちた。

鬼灯
『確かにあのアイス味は美味しいと評判ですが、時間が経てば経つほど色が混ざり合いぼやぼやしてると真っ黒な地獄色になる上、逆に急げば急ぐほどアイスクリーム頭痛になり最後は芯まで凍り付くと言うやっかいな代物なんですが・・・・ま、あの二人なら大丈夫でしょ・・風呂上がりのアイスを楽しみにしている大王には悪いですが一石二鳥です』

大王のダイエットになり無邪気な部下にも喜んでもらえるのだから上々なのだろうと鬼灯が嘆息した時、一風呂浴びたのかやけにさっぱり顔の大王がどこか心待ち顔でいそいそと広間に入ってきた。

そ知らぬふりを決め込む鬼灯の耳に予想違わず間髪入れずに大王の慌てた声が聞こえてきた。

耳

閻魔大王
『あれ~おかしいなあ?カチンカチンだったから食べごろになると思ってここに置いといたはずのアイスがないなあ・・鬼灯君知らない?』

鬼灯
『・・・知りません。この際だからダイエットなさい』

閻魔大王
『またそれを言う~厳しいなあ鬼灯君はあせるあ~~食べたかったのに~~っ』

鬼灯
『はい、いい大人がダダをこねない!!』

大好物を失い困惑する上司に、しかし冷徹なる鬼灯はしれっとした顔でぴしゃりとのたまったのだった。


とはいえ有能な補佐官はアメを忘れることはなかった。

鬼灯
『こんにゃくゼリーなら用意してありますよ。(供物ですけど)よろしければどうぞ』


汗


閻魔大王
『親切ごかして言ってるからより性質悪いな・・・ワシがこんにゃく好きだってのは現世の誤解だって前に話したじゃない・・知ってるくせに意地悪だなあ・・・・しかも何気に7色揃ってるけど君やっぱり何か心当たりがあるんじゃないの~?』

鬼灯
『人聞きの悪いこと言わないでください。これも全て大王の健康を案じるゆえですよ。貴方の代わりはいないんですからっ・・・ほらいらないんですか?』

閻魔大王
『食べるよっ食べますよ!!・・・・・・あむ・・・んん!?こんにゃくゼリーって美味っドキドキ鬼灯君も食べなよぉ』

鬼灯
『いりませんっ』

すっかりご満悦の様子でまんまと掌で転がされる閻魔大王の姿にほくそ笑む鬼灯の姿があった。




一方、唐瓜の部屋でアイスを啜る子鬼らはというと・・・

茄子
『う゛う゛う゛う゛う゛・・・・美味しいけどなんか寒くなってきた』

甘酸っぱいアイスをチュウチュウ吸いながらカタカタと小さな肩を震わせ鼻水をすする茄子を横目に唐瓜も同様の有様だった。

唐瓜
『・・・さすが八寒名物は伊達じゃねえなあ・・・ガーンなんか罰ゲームに思えてきた』

猛暑の八大に居ながら吹雪の中に彷徨いこんだかのような錯覚に陥りそうになったその時、茄子が閃いたように言った。

ひらめき電球

茄子
『あ!これ残りはとっとけばいいんじゃない?』

ビックリマーク

唐瓜
『・・・はっ・・そっかそうだよな。なんか完食しなきゃってつい夢中だったけど・・・言われてみりゃそっか』

茄子
『名前書いて寮の冷蔵庫で預かってもらえば食べたい時に食べれるし』

うっかり屋だけれど時々鋭い茄子に唐瓜が尊敬の眼差しを向けた時だった。

唐瓜
『茄子の舌スゴイ色だぞ!?』

茄子
『わっホントだ・・・って唐瓜の舌もスゴイぞ!?』

ぎょっとしたようにたれ目を見開いた茄子の言葉に唐瓜も舌を出す。

互いに虹色に染めた舌を見せ合う二人の脳裏に変人と異名をとる春一の飄々とした顔が浮かぶと同時に諦めのため息がもれたのは致し方ないことであったかもしれない。

唐瓜
『へっくし・・・ううやっぱまだ寒いし風呂行こうぜ茄子、背中流してやるよ』

茄子
『おうDASH!!!風呂で温まったらアイスも美味いし~キラキラ

汗

唐瓜
『まだ食えるのか・・・お前・・・タフだなあ・・・・汗

呆れながらもそれもアリかとしみじみ思う唐瓜だった。


温泉


そして風呂上り・・・

ホカホカと温もった身体で食べるアイスはまた格別だった。

茄子
『あ、かき混ぜたらスゴイ色になった汗

唐瓜
『・・・墨汁・・・だよな汗

茄子
『なんか黒縄の岩で作った絵の具思い出すな』

茄子の言葉に唐瓜の脳裏に飛び出す悪夢の様がよみがえった。

汗

唐瓜
『頼むからそれで絵描くなよ・・おいっ聞けよ茄子!』

茄子
ひらめき電球はっ!!なんかビビッときたかもキラキラ

とはいえ茄子の創作意欲を掻き立てた壮絶な色目とは裏腹に味は
子鬼らを魅了するほど大層美味だったという。


おしまい虹