唐瓜
「そろそろ洗濯物取り込まないと。茄子~今度こそちゃんと手伝えよ?」
お香から衆合地獄の獄卒達の衣類の洗濯を頼まれたのは午前中のこと。午後の仕事を片づけ手がすいた時間を利用して乾いた洗濯物を取り込むのも新卒の自分たちの役割だった。
茄子
「おうっ・・・まかしとけっ
」
さすがに懲りたのかやる気満々の様子の茄子と共に乾いた洗濯物を端から取り込みだした唐瓜だったが、ふと先ほど茄子が一発芸をかましたブルーとオレンジのストライプ柄のストールが目に入った。
―――ファラオって![]()
小学生レベルの茄子の発想に苦笑をもらした唐瓜は、また茄子がふざけだす前にと急いでストールを取り込むべく手を伸ばした。
すると隣で洗濯物に埋もれていた茄子がたれ目を好奇心に輝かせたまま口を開いた。
茄子
「
あ、それファラオごっこのだろ?
」
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唐瓜
「だからなんだよっ!!ファラオごっこって・・・」
相変わらずよくわからない茄子の言い分を聞くのもバカらしかったが、すでに遅すぎたようだ。茄子は瞳をキラキラさせ得意げに話だした。
茄子
「
その布、パッと見はただのストールだけど被ったらあっという間に王族気分を味わえるんだ。嘘だと思うなら唐瓜もやってみろよ
」
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唐瓜
「・・・王族ってなんだよ」
茄子
「本当に終わるのか誰にもわからない・・でも終わって欲しくない複雑なファン心理をもたらす人気漫画のファンのことだよ」
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唐瓜
「あ~わかる気はする」
茄子
「俺は王家に仕える凸凹コンビが好きだなあ。唐瓜は誰が好き?」
興味津々に覗き込む茄子に問われた瞬間、唐瓜の脳裏に浮かんだのは妖艶な美女として名高い王の姉だった。しかしすぐに彼女の姿はお香の姿へと塗り替えられてしまった。
―――お香さん
照れたように身をくねらせ、茄子の視線から照れた頬を隠すようにストールを被った唐瓜の姿はまるで・・
茄子
「あ・・・ファラオ」
意外にも自分より様になっているかもしれなかった。ここは潔く負けを認めねば・・と思い立ち声をかけようとした茄子だったがしかし言葉にする間はなかった。背後からすでに馴染んだ香りと気配がしたからだ。
お香
「あら、唐瓜ちゃん・・・どうかしたの?」
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唐瓜
「お、お香さん!!えっと・・これは・・・その~っ・・・すみません
」
憧れの女性にサボってるところを見咎められたと慌てる唐瓜に対し、悪びれた様子もなく茄子は得意げにお香に言った。
茄子
「王族ごっこです!!」
お香
「まあ」
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唐瓜
「バカッ・・・お前は黙ってろよ・・・あのっ・・・違うんです
」
お香の登場で頭が真っ白になった唐瓜にはどう収拾をつければ良いのかもはやわからなかった。
お香
「う~ん・・なにか足りないわねえ・・・
・・そうだわ・・・ちょっと待っててね」
しかし予想に反しお香は怒った様子もなく、そう言い置くとどこかにかけて行ってしまった。狐につままれた気分で待つことしばしお香が何かを手に戻ってきた。
お香
「茄子ちゃんはこの蓮の飾りを髪につけてね・・・それから唐瓜ちゃんはこれをこうして
・・・はい!出来上がり
」
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茄子
「うげっ・・・首・・締まる・・・助けて唐瓜・・・
」
唐瓜
「
ヒ~~ッ蛇が頭の上に!?コレなんの罰ゲームですか~~
」
お香
「あら?おかしいわね・・リアル王族ごっこなんか楽しいかもって思ったんだけど・・
」
茄子
「・・・今蜃気楼見えた・・・
」
お香
「新卒ちゃん!?しっかりして~~
」
カプッ
唐瓜&茄子
「ギャ~~~~ッ
」
暗転
おしまい
