このお話は『男と女の衆合地獄』直後の少しだけヨコシマ茄子さんと唐瓜さんのお話です。



唐瓜

「は~~けどホントヒドイ目にあった」



鬼灯の引率で文字通り地獄の見学からなんとか解放された唐瓜は重い溜息をつきながら、憧れのお香の前で晒してしまった醜態の数々を思い起こし頬を染めた。



茄子を誘い休みを利用して、衆合地獄の見学を鬼灯に申し出たまでは順調だったが、お香目当てと看破された挙句親友の茄子にさえ隠していた性癖が暴かれ大恥をかいてしまった。



計画がどこで狂ってしまったのかもはやわからなかったが、すっかり当てが外れてしまった唐瓜はふて腐れたまま、いつもと変わらぬ様子で隣を歩く茄子の顔色をこっそりと伺った。



――ドンマイ!!



唐瓜

(・・・ってなんだよ)



散々な唐瓜にかけられた茄子の励ましの言葉が妙に癪でならなかった。鬼灯の案内で初めて訪れた花街のもたらす場の雰囲気に圧倒され、女性たちの纏った香りに鼻腔は膨らみ心拍が上昇する中必死で平静を装いながらも否応なく押し寄せる好奇心と緊張で始終興奮しっぱなしだった唐瓜とは異なり、茄子が相変わらずのマイペースだったことがひっかかっていた。



挑発的な女性たちの眼差しにも動じることもなく、いつもの調子で屋台から屋台へ貪欲な眼差しを向け、ネギま片手に九官鳥にちょっかいを出す無邪気な茄子を子ども扱いする一方で舞い上がって失敗してしまった情けない自分とを比べてしまうと我ながら情けなくていたたまれなかった。



唐瓜

「・・・ったくさあ、茄子って薄情だよなあ」



友に醜態を晒してしまったことが気恥ずかしくてつい八つ当たりしてしまったことがさらに気まずかった。



はてなマーク



茄子

「ハクジョー?・・・二日酔いのアシタノジョー?」



むかっ



唐瓜

「違うわっ!!」



茄子のボケに突っ込んだ唐瓜は不思議そうに首を傾げる茄子相手にそれ以上怒る気にもなれず肩の力を抜いた。



考えてみればあんな性癖を晒した自分に変わらずに接してくれている茄子に怒る道理はなかった。



茄子

「でも意外だったなあ~綿百パーじゃないとダメな敏感肌の唐瓜があ~ゆ~プレイが好きだったなんてさ~」



!?



唐瓜

「ΘДΘ;~~~お、お前ナニ言って・・・あせる



思わぬ茄子の指摘に唐瓜は憤死寸前になった。



唐瓜

「今すぐ忘れろっ!!頼むからっあせる



茄子

(・・・茹でダコ)



茄子

「唐瓜・・・く・・・苦しい」




羞恥と屈辱で半泣き状態の必死の形相で迫る唐瓜の剣幕に驚いたのか茄子は不承不承といった面持ちで頷いた。



素直な態度に安堵する唐瓜を横目に茄子は小さくひとりごちた。



茄子

「面白いから心のメモ帳にしっかりメモっとこうキラキラ



意外な友の一面に茄子は好奇心をくすぐられたが、あえて追求は避けることにするとこれからのことを考えた。せっかくの花街見物も互いに金欠の財布事情を考えると鬼灯と別れたのは早計だった気もしないでもなかった。



鬼灯

『はい、本日の見学はここまで!ここから先は大人の時間です・・あなた方は寄り道せずまっすぐ帰りなさい。どっかの下衆の種馬みたいにうかうかしていると身ぐるみはがれますよ』



鬼灯は冷徹に言い切ったのだった。