壱哉
「ほら、新・・・ポ×キーだぞ。・・一緒に食べよう」
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新
「な、なにやってんの?・・・黒崎さんポ×キー口に銜えて・・・!まさか!?」
壱哉
「ひょうはぱれんらひんらろ・・?」(今日はバレンタインだろ?)
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新
「だからってなんでそ~なんだよッ!?わけわかんねぇよ」
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壱哉
「ふっ・・・ひょひほかひひらふぇはへはふは。・・・ほはへぼーぼんほかひょうひはふっへひっへはははは」(吉岡に調べさせたんだ。お前、合コンとか興味あると言っていただろう?)
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新
「・・・確かに・・言ったけどさ」
壱哉
「はろう?・・ぼーぼんほひへはほうははへーふは
」(だろう?合コンと言えば王様ゲームだ)
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新
(どこでそのえせ知識調べて来たんだ吉岡さん。なんかいろいろ間違ってっけど黒崎さん妙にノリノリだし・・・女じゃねぇからチョコのやりとりとかありえね~ってちょっと残念だったのはあるけどさ。俺と黒崎さんは恋人って関係なわけで・・しかも今日はバレンタインだもんなあ)
真顔でポ×キーを口に銜えて俺ににじり寄る黒崎さんに脱力した眼差しを向けながら今夜の出来事を思い返した。
俺がもっと大人だったらホテルのスィートを予約するって黒崎さんは言ってたけど、半人前の学生の身にはちょっとハードルが高かったから俺は特別なことは何もしなくていいと断り、黒崎さんもわかってくれた。
雪がちらつく寒い日だったから吉岡さんと相談して一緒に作ったおでんを夕飯にだしたら、黒崎さんすごく喜んでくれて・・・
―――俺も嬉しかったから油断していた。
食後の片付けもすんで居間のソファで寛ぐ黒崎さんに合流した俺に、笑顔でコノ人は言った。
壱哉
「新、夕飯のおでんすごく美味かったぞ。実は初めて食べたんだが・・味の染みこんだ半熟卵がとくに美味かった。」
新
「へへ~だろ?気に入ったんならまたいつでも作るからさ・・・ん?黒崎さん」
褒められて満更でもなかった。だけど夕飯の話をしていたはずなのに気付いたらいつの間にか吉岡さんの姿は消え、居間には俺と黒崎さんの二人だけになっていた。それになんだかさっきからずっと黒崎さんの俺を見る目つきが妙に熱くて・・頬が紅潮するのが自分でもわかった。
壱哉
「・・ああ。新、俺からのささやかなプレゼントだ」
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それは深紅の薔薇だった。学生時代たびたび留学してたから外国の習慣が自然と身についた黒崎さんらしい気障な演出だった。
新
「・・・ありがと、綺麗な色だな」
薔薇を見た瞬間エプロン兄ちゃんの姿が浮かんだけど、やっぱり黒崎さんの気持ちは嬉しかったからささやかな好意を受け取った俺に黒崎さんはさらなる衝撃を与えたんだ。
壱哉
「ほら、新・・・ポ×キーだぞ。・・一緒に食べよう
」
―――ぽんぽこぴー!!
押し寄せる邪な秋波にげんなりしながら、心の中で絶叫した俺は覚悟を決めるしかなかった。
新
(こんなんでも俺の好きなヒトだかんな)
緊張に震えながらチョコでコーティングされたプレッツェルを口に含むと焦らすように少しずつ食べ進めた俺の唇はやがて終着点で温かな黒崎さんの唇に出迎えられた。
新
「・・・・ふっ・・・・んん・・はふっ」
ご褒美のキスはほろ苦く、そして切ないほど甘くて優しくて・・・興が乗ったのか口づけと共に深くなる黒崎さんの愛撫にこれから始まる甘い夜の予感を噛みしめながら俺も夢中で応えたのだった。
壱哉
「・・・・まだまだたくさんあるぞ
」
新
「
・・・いや、いいから
」
(さっさと取り上げて全部食わねぇと・・・カラダいくつあっても足りないかも
)
おしまい
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