獄卒A
「おし、これだ!!・・どれどれどんなお題だ・・・」
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少しでも精神的負担を軽くしたいとの願いを込め混沌とした欲望の渦巻く箱から引き出した借り物のお題を確認した獄卒Aの顔に緊張が走った。
――――好きなヒト![]()
なぜなら札にはそう書かれてあったからだ。しかし彼はどこまでも前向きな男だった。
獄卒A
(これはお香さんに告白できるチャンスなんじゃないか!?)
大人の女の色香を漂わせたお香は獄卒達の間でも人気だった。鬼灯とも親密らしいとの噂さえあった。
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正直まだ死にたくはなかったが、どうせ玉砕覚悟なら普段視界に入ることさえ許されない高根の花に挑むのも悪くない。
とはいえ彼は同時にシャイな男でもあった。
だからこうして札を引き当ててからずっともじもじしながらお香のいる応援席の周りをうろついていたのだ。
―――よし!俺も男だ![]()
競技の一環である以上断られる確率は低く勝算はあった。覚悟を決めた獄卒Aが恐る恐るお香に話しかけようとした時のことだった。
ドンッ
??
「お香姉さ~ん、俺と一緒に来て!」
何が何だかわからないまま獄卒Aは背後から勢いよく飛び出した何者かに吹き飛ばされていた。
茄子
「
・・・あれ、今何かぶつかったかなあ?ま、いいか」
―――なんでだ~~~!!![]()
こうして獄卒Aの儚い目論見は白紙に返り・・・待ち受けていたモノはさらなる無情だった。
脱衣婆
「なんだいなんだい!最近の若いのは根性ないねえ・・さ、牛頭さっさと持ってっとくれ。邪魔邪魔。あたしゃ鬼灯様応援にきたんだからさあ・・ひひひ
」
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おニュウの腹巻姿でいつもよりばっちりメイクをして心なしか浮かれ気味の脱衣婆の姿に凍りつく間もなく背後から軽い足取りで参上した牛頭に首根っこを引っ掴まれ絶体絶命の状況は明白だった。
―――ヒイイイイイッ![]()
リハで体験したピタゴラ××ッチの恐怖に身悶えながら獄卒Aはこうして退場することとなったのだった。
おしまい
鬼灯の冷徹 運動会狂想曲 おたんこ茄子編(前)へとつづく