一方、新は全てを投じて自分への愛を証明してくれた壱哉を離すまいとでもいうように抱きしめながら心の丈を叫んだ。



「ありがとっ!!黒崎さんっ!!最後まで俺も一緒だから・・・絶対離さないからっ」



壱哉との縁により呼びこまれたこの世界に降り立った瞬間、同時に失った愛と夢を取り戻せた以上、この偽りの世界に長く留まることはできないと感じながら、新はいつかとは逆に壱哉の体が光の化身へと昇華するのを最後まで傍にいて見届けようとしていた。



無力な人間が欲望の化身である悪魔を倒すことができる唯一の武器、それは・・



互いの想いが通い合った時にのみ発露する【真実の愛

そして心から愛する者を想う者にのみ発露する【自己犠牲の愛】だけだった。



新への愛と樋口への友情を込め、全身全霊をささげた壱哉の願いの元出現した幻の花園の中心にふいに口を開いた虚空が花を巻上げ渦を巻き全てを飲み込もうとしていた。



それはこの偽りの世界の終焉であり、


この甘い悪夢の終極が訪れた合図に他ならなかった。



ギャアアアアッツ



新と抱き合ったまま、全てが渦に飲み込まれようという瞬間、壱哉は確かに轟音にかき消されるような瀕死の悪魔の絶叫を聞いた気がした。









赤薔薇姫-俺下 壱哉様×新くん ぎゅっと抱きしめて~